11月ある日・・・
普段、鬼巳はタンクバッグの中に
スカートを入れてJ太郎で出勤し
事務所内の小さな倉庫で
履き替えてから仕事をしていた。

今朝も、スカートをタンクバッグにしまい
ingと言うメーカーの踵の無い靴で
単車で出勤しようとしたが
とある地下鉄地下鉄のコインロッカーに
荷物を預け会社をサボったのだ!!
適当に国道を走り名のある観光地
開田高原まで来て帰りは
R41号で帰宅した。
気分爽快なツーリングであった。

清が、名古屋に仕事上で来ると
鬼巳の会社ビルの前で打合せなく
待っている時もたまにあった…。
そんな中でも
相変わらず仕事は
捗らず嫌気もさすほどだった。
ストレスで生理が
止まっているのだと思った。
前職の新入社員の時も
生理が止まったり貧血で
倒れたりしていたからだ…。

やがて・・・身体の変化に気づき
本屋で【安心安産】と言う
本を平気な振りして買った…。
受精してからの期間が詳しく
載っていて…鬼巳は逆算してみた
生理最終日を0として・・・
もし新しい命が存在してたら
3ヶ月は経過していた!!
ツワリでなく頭痛や体調の悪さを
仕事の行き詰まりと思い込んで
いたのが、何と言う事だと
嘆きたい気持ちと清に打ち明けた
として万歳ではない事は確かで
愛する男の子供を身籠り
困った顔をされるのは
鬼巳にとって、とてつもなく
究極に哀しい事であった…。

鬼巳は、私の責任だと思い
翌日…いつも飴を配る生命保険の
おばさんに、受取人を母親名義で
契約したのだった…。
女一人で育ててくれた母に対して
こんな事態になった償いとしての
気持ちからだった…。

誰にも話さず普通に過ごしていた

事務の仕事は平成4年の元旦付で
退職となった。首になった方が
気が楽だったからだ…。

ただ…どこで命を落とそうかと
そればかり考えていた。
『お願いだから別れてッしょぼん
『理由を話してくれよッ』
『私といちゃいけないのッ
奥様の傍にいてあげてよしょぼん
何でまた来るのよぅッバカッショック!

年が明けると・・・
ニュースやワイドショーでは
嬰児死亡遺棄事件や乳児置き去り
の事件が頻繁に流れていた…。
押入の天袋に何体も男女区別の
つかない小さな・・・。

鬼巳は…とにかく上手く事故って
死亡保険金が母親に入るように
しなければと身重の身体で
単車に乗り事故る場所を探し
続けたのだった…。

鬼巳の責任は・・・
清に話しても自分だけ
生き残るだけだから
愛して芽生えた命…
赤ちゃんの"あ"で「あーちゃん」と
一緒に逝く事だった…。

母親が毎日、日課で般若心経を
夕方に唱えていたので一緒に
読み上げていた…。
懺悔文は力強く唱えていた。

鬼巳のお腹の張りは目立たなく
少し太った程度で、男物のジーンズ
買い、足回りを細くする為に
前のジーンズを当ててミシンで
足の太さだけを縫ってフィットさせた
上は、シャツを出し誤魔化した。

仲の良いメーカーさんから仕事が
舞い込んで正社員で働くも
制服のスカートサイズを代えても
制服では体型を誤魔化せずに
1ヶ月半だけ働いて退職した…。

メーカーさんからは
店長が気分屋だから合わなかった
んだねと言ってくれて
申し訳なさを感じながら
話を合わせたのだった…。

清は本気にしてくれず
いつものように会いにきていた。

安心安産の本は隠れて見ていて
出して隠してで、ボロボロだった

家に食費を入れてたのと
生命保険代で資金力が危なくなり
一眼レフカメラを売りに行き
最後になる保険料を銀行に入金。
6月末近くだった…。

事故りに行かなくては・・・

つづく・・・

お疲れ様でしたぁm(__)m
ご拝読を真に
ありがとうございますしょぼん(-人-)