名古屋港に到着…。
はっきり言って話す事がなく
しどろもどろ状態の鬼巳が
着ているトレーナーのロゴを見て
『VAN 好きなの?』と聞かれ
姉の受け売りだと簡単に答えた。
もっと言い方があったろうにと
思いつつカップルが気になっていた

(こーゆぅ所は恋人とだよなぁ)
珍しく…
彼氏いない期間の鬼巳にとって
目の毒状態であった…。

『そう言えば…レンタル屋からバイトに
誘われてたんです』
『何か頼まれてたね…やるの?』
『今、学童保育で臨時のバイトを
してるし…職安の件もあるから』
『そーなんだ!職安でちゃんと
した所に就いた方が良い』
『なんか…身内でやってる感じで
雑用ばかりやらされそうな気が』

バイクの話題以外
しどろもどろも名古屋港に着いて
30分くらい経過していた…。
『そろそろ帰ります』
『そうだね!お家の人が心配
したら大変だ』

レンタルバイク屋まで指示しないで
辿り着き、その先は細かな道案内
をして自宅前に到着した…。
VFRのエンジンを切り2人して
バイクから降りた…。

『今日は、どうも有難う』
『イエイエどういたしまして』
2人に暫く無言の間が出来た。
『あッ連絡先を教えますね
メモ持ってきますから』
と大型ライダーを残し自宅へ…。
そして暫くして大型ライダーの元へ
『はいッこれ私の家の番号で
下はキミと読みます。』と手渡し
白紙の紙とペンも渡した…。
『鬼巳…良い名前だねぇ』
呼び捨てされた訳じゃないが
心地よい声の持ち主だと思った。

大型ライダー自身も連絡先を
書き終え鬼巳に渡しながら
『家にあまり居なくて勤務先の
番号を書いたから…長話は
出来ないけどね』
『わかりましたぁ…菅原清さん』
『じゃあまた近いうちに会おう』
再会を誓うように握手をした…。
静かな街に爆音が轟き
赤いテールランプが小さくなり消えた

1991年5月27日
昼過ぎに電話が鳴った。
菅原清からだった。
『繋がッたぁ!デタラメじゃなかッた』
鬼巳の耳に心地よい声が
電話の向こうではしゃいでいた。
『デタラメなんて教えないですよ!
先日はどうも有難うございました
どうしたんですかぁ?』
『ちょっと時間空いたからね…
えーっと明日なんだけど…
貴女は何してるの?』
『今のところ予定ないですけど』
『あ良かったぁ。名古屋に仕事で
行くから終わッたら会えるかナ?』
『うん、いいですよ』
『有難う。また明日電話するから
居てくれるカナ…だいたい15時頃』
『15時ですね…わかりました。』

電話での菅原清との再会だった。
明日は二度目ましてと
言ッてやろうと思ッた鬼巳だった。

つづく・・・

愛とは決して後悔しないものよ
たまらさVersion⑤の
ご拝読を誠にVery
ありがとうございましたドキドキ(-人-)