たまねギの簀巻きss

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小説、ss、つぶやき、エッセイその他もろもろ
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........失敗した

まさか、僕が人間如きに追いつめられるなんてね。

僕はフラついた足取りで夜の森を歩いていた。身体中から血が流れ同時に僕の生命力も徐々に減っていくのがよく解る。
早く逃げなければ.....
そんな思いとは裏腹に
もう限界だということも解っていた。
ずるずると僕の後を追う血の跡
残った獣の匂い
プロのハンター達が僕を追うには充分過ぎる痕跡が残っている
そして僕には人間の子供を殺す力だって残っちゃいない。

.......もう、駄目か

そう思ったとき視界の先に古い建物が見えた。


建物の扉には鍵は掛かっていない
誰も住んでいないのだろうか...
僕は扉を開け建物の中に身を滑り込ませる
やはり人の気配はない
僕はたちまち安堵感に包まれた
人間は僕の姿を嫌う
力があれば化けることだってできるけど
今は無理だ
もし人間に見つかれば僕は殺されてしまうだろう。

しばらく壁にもたれ掛かっているとポツポツと雨が降り始めた
もしかすると、雨が血も匂いも洗い流してくれるかもしれない
僕は小さな奇跡に感謝して静かに眠った