ブラックな職場がつらい。

そんな方々も(自分を含め)多くいらっしゃると思います。

是非、この映画をご覧なさい。

兵隊の次に「キツイ、(上司が)厳しい、危険」な職業、つまり香港映画のスタントマンの生活を知る事ができるからです。

 

気力も体力も削られるけど、いきなり半身不随にならないだけ、まだマシかもな・・・。

そんな風に、自分を誤魔化す事が出来るかもしれません。

言っておきますが、こういう考えは誤りです。

お前よりも大変な人がいるのだから我慢なさい、というやり口は、政府(もしくは詐欺師)のやり口です。

主張すべきははっきりと主張し、より良い労働状況の改善に一致団結して取り組む事が大切なのです。

 

話が最初から逸れてしまいました・・・。

香港アクション映画の危機管理が、後期高齢者の尿漏れ並みに緩すぎるのを知るには、良いテキストがあります。

ムーン・リーさんが出演した「群狼対戦」という映画のエンディングです。

大爆発する建物から飛び降りる3人・・・おや、1人燃えている。

ちょっとどころじゃありません。

ボーボー燃えまくっています。

 

 

(質問)人が燃えているみたいに見えますが、どうやって撮影したのでしょうか?

(回答)実際に人間が燃えている映像です。

 

恐ろしいのは、その後のスタッフロールで、この女優さんが大火傷で入院した事を報じる新聞記事まで登場する事です。

事故を起こしてしまった事を、むしろ映画の見所にしている・・・。

人の心が無いか、信じられないほど無邪気かの、どちらかでしょう。

多分後者だと思います。

今回ご紹介する映画「スタントマン」もそういった映画なので。

 

「スタントマン」は、過酷な香港スタントマン業界を舞台にしたドラマです。

昔ながらの映画撮影にこだわる頑固親父スタントマンと、スタントマンに憧れる若者の交流を軸に、頑固親父と娘、頑固親父と職場、頑固親父と被害者家族らとのやり取りを描きます。

ちゃんと決まった休憩を取り、安全に配慮し、予算と期限をきっちり守る。

そんな今では当たり前となった常識なんか、どうでも良い。

面白い映画を作る事が、一番大事マン。

そんな頑固親父が、もうメッタメタに辛い目に遭い、でもくじけず、またやらかす姿をこれでもかと描きます。

 

普通はこういったアウトローな親父に感情移入し、頑張れ!と応援したくなるものですが。

まあ、仕方ねえな。

こいつはさすがに擁護出来ない・・・。

いい加減、懲りたりしろよ!

と、思わず頑固親父の方にツッコミたくなるのです。

 

全体としては、非常にベタな設定による、コテコテ様式美の人情ドラマなのですが、明らかにやり過ぎなのです。

こちらの感情を破壊させたいのかと思う様な、ショッキングで悲痛な展開をこれでもかと見せる。

今の映画やドラマなら、もうちょっとマイルドに抑えるだろうに、やっぱり香港映画はアクション以外でも容赦ありません。

もうコレ、この後どうすんの?と心配になるほどなのです。

 

最後はアッケラカンと終わるので、普通に良かったねとは思うのですが・・・。

結局この親父、トム・クルーズと同じじゃねえか!

若い者に譲らず、最後まで俺のターン。

反省もしていなさそう・・・。

まあ、しょうがねえか!

 

「香港映画よ、永遠に」というレクイエムの様な映画ですが、ご存知の通り「トワイライト・ウォリアーズ」の成功で、見事に香港アクションは復活しました。

是非、この2本はセットで観ていただきたい。

そして、香港アクション映画界の復活を祝い、新たな作品(続編と前日譚)を待っていただきたいと思います。

 

あと、安全に配慮しても面白い映画は作れる事を、頑固親父は理解して欲しい。

単に迂闊なだけだから!