昔、「独占!女の60分」というお昼の番組がありました。
女性だけが出演し、様々な挑戦をするような内容だったと思います。
本作を観て、なぜかその番組タイトルを思い出しました。
この映画には男性も出てきますが、中心となるのはまさに「おんな」!
女の怖さ、凄まじさで圧倒するクライム・サスペンスなのです。
モノクロ映画というだけでない、徹底的にダークな映像とダークで不吉な音楽です。
特に、冒頭と途中で登場する、顔が不気味に変容する映像表現は、トレント・レズナー(ナイン・インチ・ネイルズ)やレイモンド・ワッツ(PIG)がPVで使用しそうな、気味悪くもスタイリッシュなもので、とても気に入りました。
もちろん、一番ダークなのは、お話そのものです。
第1次世界大戦後のデンマークを舞台に、実際にあった連続殺人事件を元にした、暗く陰鬱な事ばかりの物語。
前半は、旦那が行方不明になった主人公の女性が、住む場所を失ったり、職場の男性に裏切られたり、といった戦禍における女性ならではの厳しい人生をジックリ描きます。
序盤のネタバレになりますが、旦那とはあっさり再会します。
しかし、おそらく戦場で負った怪我により、不気味な人面マスクで顔半分を覆った姿になっているのです。
これ、「犬神家の一族」を思い出しますよね。
ちゃんとマスクを外すシーンもありますが、この下の顔の残酷さもエグい!
ところが、タイミングの悪い事に、主人公は職場の上司と良い仲になっているのです。
出て行け!と怒鳴る主人公。
主人公とは言え、この女性は決してこちらの共感を得る様な都合の良い人間では無いため、時々「それはどうなんだ」と戸惑う様な行動を取ります。
個人的にはここがむしろ良かったですね。
まず自分の生活を優先するというのは、女性としてはごく自然な事だからです。
しかし・・・。
妊娠して、さぁ結婚というところで、この話も案の定破談に。
この子供はどうするのだ。
そこから、この忌まわしい物語は本格的に蠢き始めるのです・・・。
この後も、連続殺人事件にはなかなか辿りつかないのですが、嫌な予感は高まっていきます。
しかも、ただの連続殺人なんかじゃないのです。
本当に、最悪な話・・・。
主人公は、ある女と出会うのですが。
そこからの急転直下は是非、体験していただくしかありません。
モノクロ映画か~。
アートっぽいのはダルいっすね。
そんな風に思う方も少なく無いと思いますが。
観終われば、モノクロで本当に良かった!と思うのじゃないでしょうか。
そのぐらい、キツいシーンがいくつも登場します。
てっきり監督は女性だと思っていたのですが、本作は男性監督によるものでした。
よくぞここまで、女の地獄を描き切ったものです。
この映画の中で、女性が突然怒鳴ったり暴力を振るったりするシーンが何度か出てくるのですが。
実体験でしょうか。
「コレ!女はこれが一番怖いんだよ!」と言いながら撮影したのかもしれませんね。
まあ、しかし、戦争です。
この映画に出てくる不幸の多く、あるいはほとんどが、戦争に起因していると言えるのです。
戦争はまず、弱者を狙います。
そして、すべての庶民を弱らせます。
食糧を奪い、住まいを奪い、体力を奪い、精神を奪います。
そして尊厳を奪います。
それはもう、今の世界を見れば分かる事でしょう。
戦争はまず、真っ先に、子供を殺すのです。
女性にとって何よりも大切でかけがえのないものから、真っ先に。
日本でも様々な場所で、大々的にデモが行われました。
戦争及び現政権に対する怒りのデモです。
ここには、多くの比較的若い女性が数多く参加していたそうです。
やっぱり、分かるのでしょう。
戦争になったら、誰が一番に犠牲になっていくのかを。
・・・全然分かっていない女性も、一人いるみたいですが。
