先生が私に向かって歩いてくる……

バレてしまったらどうしよう……また注意される!

声をかけられないように身を潜め「バレないようにできますように！　」私は心から願う

まるで刑事ドラマの犯人になったような気分で、存在がないかのように振る舞う。

ところは小学校1年2組の教室。先生が出した問題を解く時間が5分与えられた。

その間に先生は教壇から離れ、机と机の間を歩いてくる……

私の横を通り過ぎた瞬間

「よし、今だ!!　」と私は右手で持っていた鉛筆を左手に持ち替えた

なんとかバレずに利き手に鉛筆を持ち替えることに成功！

だけどまだ気が抜けない。先生がどこにいるかを横目で把握しながら、こちらを向きそうになったら、また右手に鉛筆を持ちかえる……

30年ほど経ってもその時のことを鮮明に覚えている。

自分が悪いことをしている訳では左手で書いているだけで注意をされてしまう。

注意されないようにするには、利き手を右手にするしか方法がなかった

左利きの人は「ぎっちょ」と言われ、差別的な用語を使われ、多くの人が矯正をされていたのに、ところが一変……いつかを境を機に左利きだというと「左利きは頭がいいよね」「天才肌なんだよね？」と言われるようになった。

世界人口の10％が左利きだそうで、左利きに対する考え方が変わったのは、右脳と左脳の働きが違い、右利きが使う左脳は「論理的」左利きが使う右脳は「感覚的・感覚的」でピカソ、オバマ前大統領、ビル・ゲイツ、アインシュタインなど偉人・芸術家・スポーツ選手などの著名人の50％程が左利きという説があると分かったことが、左利きへの考え方が変わったのだろう……

少数派を「特別」に思うかは「特異」と捉えるか、「正解」や「不正解」は、その時代の価値観や情報によって左右されるんだと初めて知った。

そうこうしている間に約3年程で私は両利きになり、鉛筆は右手、スポーツをするときの利き足なども右、食べるのは左となった。

自分の身の回りで小さなことでも「説明ができないけど禁止されていること」はありませんか？

例えば、学生の時に髪型の制限をされたり、スカートの長さを決められたり、靴下を制限されたり。「何故だめか？」を答えられないような不正解がたくさんあります。でも、何故だめなのかが分からないことを強制させられることは、他人が思う以上に恐怖を感じて、トラウマになる可能性があるということを理解する必要がある。

幸い、私は鈍感でトラウマにはならないで済んだが、本当に気を付けて欲しいと思う次第であります!

正解や不正解は“いとも簡単”に変化する