真夏の太陽が照り輝く七月のある日のこと
武と志乃が五年生の男子をたたいたと、五年の男子の親から五年担任の土野先生の方に苦情があった。
武は、父親は武が二歳の時交通事故で亡くなり、それに気を落とした母親は武を両親に預けて家を出てしまった。祖父母は親以上の愛情で武を育ててきた。が、友達が親と仲良く出かけている様子を見ると羨ましく思っていた。また、武をとっても可愛がっていた祖父が昨年亡くなってしまった。武は素直ではあるが一端不愉快な事があると怒りを丸出しにすることがある。一人では行動することはなく、いつも二、三人の友を連れ、その大将となっていろいろと命令していた。
武の淋しさをいつも心配していたのが志乃であった。志乃はとても温厚で人の気持ちを大切にし、時々武の感情が高ぶるのを抑える役をしていた。武がこれ以上人の迷惑になるのをいつも気にしていた。武はわんぱくでもいい、正義感の強いたくましい男の子であって欲しいと願っていた。
五年生の弘が武に
「おい!親なしっ子 いつもからいばりばかりしているんだよね ばばっこ!」
っと大きな声でからかった。武は弘に何もしていないのに弘のそばを通り過ぎたばかりなのに・・
「大きな体をして何もしないで 家来にばかりさせいる おかしいぞ!」
と 弘はまたののしった。武はかっとなり 弘の襟首を左手でぎゅっとしめ、右てをふり上げほほを打とうとした時
「武君!やめなさい。 暴力はあなたが負けになります」
と突然 志乃が注意した。武は気を取り戻し、左手をゆるめ、上にあげた右腕を下した
「私はじっと聞いていたが弘が悪いよ。武君は何もしていないのにからかうなんて」
「弘君!武君にあやまりなさい」
と志乃は五年の弘をたしなめた。弘は知らぬふりをしてその場を足早に去っていった。
弘の担任の土野先生はすぐに六年担任の美穂先生に連絡して二人がら事情を聞いて指導していくれるようにお願いした。