　わたしの麺情報を古い。10年前に購入した蕎麦本、ラーメン本が基本となっているのだから宜なるかな。蕎麦屋は断言できるほどの情報を持ち合わせていないが、ラーメン屋さんというのは、人気になるとまあ味は落ちるね。それは客を回すのが大変だというだけに留まらず、ラーメンのスープというのを再現し続けるのは不可能に近いというところに帰結しているのだと思う。だって、スープ１つに何十種類もの素材を利用しているのだよ。各素材の出来不出来、気候がどうのと、変化は何千何万通りとある中で、同じスープに仕上げるのなんて、土台不可能。狙うべくは、同じスープを作るのではなく、毎日その日その日のベストのスープを仕上げていくということしかないのだ。でもそれに気付けないとズレが生じていき、結果味が落ちる。

　閑話休題。蕎麦漫遊記だった。蕎麦はラーメンとは違うけれど、似たようなものだろう。折角再開した蕎麦漫遊記である。古い本に頼っていないで、新規開拓もしようじゃないかと、小山で評判のお蕎麦屋さん「蕎麦専門店愉庵」さんまで足を伸ばしてみた。

　入るとすぐに使用している蕎麦の実の産地を紹介した立て看板が。流石は蕎麦専門店を冠しているだけのことはある。十割と二八で玄と抜きを使い分けているのも、そそられる。十割と二八の魅力は別もの。十割が上の蕎麦とは限らないのである。それぞれの持ち味というものがある。

　さて、早速わたしはせいろ（玄）を注文。綺麗なお蕎麦が出てきましたよ。見ただけで美味しいのが分かります。蕎麦の本来の味、香り、喉越しもそなわった、三拍子揃った十割蕎麦でした。間違いない。美味い。

　辛めの汁との相性も考えられていて、料理となっている。付けてなお美味い。でも付けないほうが蕎麦の味が際立って美味い。でも付けたくなる。付けたら付けたで美味い。でも蕎麦の本来が美味いから、付けたくない。付けないで食べる。美味い。でも付けたくなる。困った蕎麦である。ご主人やりますね！

　連れ添った妻は天せいろ（抜き）を注文。これまた見ただけで美味そうなのが出てきた。車海老、茄子、南瓜、さつま芋、アスパラガス、舞茸、山菜他。車海老は頭付きだ。嬉しいねえ。

　二八の蕎麦は十割に比して、二八の魅力が出ていたとは思えなかった。単純に蕎麦粉の少ない版というような印象かなあ。但し、辛めの汁とはよく合った。これはこれで美味しいのだけど、十割と食べ比べてしまっているので、この日は単純に軍配を十割に上げてしまわざるをえない。

　そば湯もさらりとした本物だった。小山に名店あり。単品つまみも美味しそうだったから、今度は飲みに来たいなあ。鴨せいろも食べてみたいし。皆さん、美味しいお店が何時までも美味しいとは限りません。評判のうちに行くのも一考ですよ。是非足をお運びください。そして美味しいお店を育ててください。御馳走さまでした。

【小山】蕎麦専門店愉庵／せいろ（玄）　☆☆☆☆★　／　天せいろ（抜き）　☆☆☆☆

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素材情報

蕎麦粉は茨城県桜川市常陸秋そばを使用（玄は十割、抜きは二八）

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『蕎麦専門店 愉庵』（小山）－ 帰ってきた蕎麦漫遊記４。

『蕎麦専門店愉庵』（小山）－帰ってきた蕎麦漫遊記４。