「月末に想ふ、あのフィルムたち Vol.8」 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

 今年も月末は映画の話をしていきたいと思います(決めておかないとなかなか書けないので)。皆さん、映画好きなら映画始めは済ませたと思いますが、わたしは映画始めならぬ、映画館始めならぬ、フィルム始めというのをやっています。

 1年に一度くらいは映写機から投影された光を全身に浴びておこうと思ってのことなのですが、いや、別に都内に住んでいれば一度と言わず何度だってフィルムで映画を観ることはまだ可能なのですが、宇都宮に住んでいたりすると、意識しておかなければ1年間フィルムで映画をまったく見なかったということになりかねません。そこでわたしは意識して早めにフィルムで1回映画を観ておきます。もしやの事態にならないために。

 

 今やフィルムで映画を観るのは容易くありません。それこそ都内でも名画座を利用しなければ不可能に近いレベルまでフィルム上映は淘汰されてしまいました。わたしもここ数年のフィルム始めは右にならえで名画座でしたが、今年のフィルム始めは名画座ではありませんでした。TOHOシネマズ日劇の大画面で観ることができたのです。

 

 

 皆さん、寂しいですね。とうとう日本の旗艦劇場が閉館ですよ。都内ではミニシアター系ばかり観ていたわたしなので、そんなに日劇さんとは縁がありませんでしたが、それでも舞台挨拶や特別上映など、プレミアムなイベント時には日劇さんによくお邪魔させて頂いていました。お客さんを多く収容できるということは、それだけで体感できる共有パワーも増大するわけですし、大劇場だからこそ感じられる空間演出の妙というものもやはりあると思います。新宿ミラノ座で体感してきたあれやこれは忘れられません。

 

 

 2月4日に閉館する日劇さんは「さよなら日劇ラストショウ」と称して、いままで日劇で上映してきた縁のある作品を上映して花道を飾るつもりでいます。そのラインナップの中には、いまや映画館で観られる機会がまずないレアな作品も多数含まれていますので、さすが日劇さん愛されているなと感じます。

 

 

 わたしは“さよなら日劇ラストショウ”でフィルム上映される中から『ゴジラVSデストロイア』を観賞してきました。公開当時シリーズ完結編とうたって上映されたゴジラシリーズです。ファーストのオマージュ描写が多くあるので、感傷的な今回のようなラストショウにはまさに打ってつけ。上映終了時に皆で拍手して帰りました。

 この世の生きとし生けるもの、そのままでいられるものはありません。デジタルの記号はそのままだとしても、受け皿は日に日に壊れていきますから、デジタルも永久ではありえない。わたし自身年老いて、わたしの愛した世界は朽ち果てていくけれど、その消滅と再生の変遷を見て感じていくのが人生の醍醐味というものだろう。今年もフィルムで映画を観られて良かった。わたしの世代が現場からいなくなるまでは、まだまだ元気にフィルム上映が続いていきますように。

 

 以上、なに書いたかよう分かりませんが、こんな企画をどうぞよろしくお願いします。(次回:2月末日)