アカデミー賞後記 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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まれにみる混戦で、オスカーウォッチャーを楽しませてくれた第87回アカデミー賞も終わってしまいましたね。蓋をあけてみれば、『6才のボクが、大人になるまで。』を『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が大差で完封という結果となりました。最多受賞作品は、その作品監督両賞受賞した『バードマン』と、技術賞部門で指示された『グランド・ブタペスト・ホテル』双方の4冠です。


今年も、昨年の『ゼログラ』と『それでも夜は明ける』のように、『6才』と『バードマン』で作品賞と監督賞は分けるのではないかと囁かれていて、しかし、どちらが作品賞でどちらが監督賞なのか分からないとまで言われてきた混戦でした。


しかし、わたしは思い切って、『6才』の実験的野心は歴史に名を残すに相応しいとの思いから、『6才』圧勝の方向で予想を組み立てることにした。そしたら、残念ながら圧勝したのは『バードマン』のほうであった。



なぜ『6才』は指示されず、『バードマン』は指示されたのか。そこには、やはりフォックス・サーチライトの巧みな業界内マネジメントの成功とキャンペーンパワーがあるような気がする。



今年の最多受賞した2作(『バードマン』『ブタペスト』)は共にフォックス・サーチライトの作品だ。同社は2作だけで8冠持って帰ったことになる。昨年の作品賞も同社の作品だったのは記憶に新しいところなので、ようはこういうことではないだろうか。同社の業界内パワーここに極まれりと。


思えば、わたしは現協会を数年前より仕切っているクルーニー兄やんとブラピらの所属しているグループであると書いてきた。ハリウッドでの俳優の力は強くなってきているわけだ。同社は、そういった彼らに、『ファミリー・ツリー』や『ツリー・オブ・ライフ』、『それでも夜は明ける』と作品を提供し、結果を出してきた。そういったマネジメントの花がいま満開になっている、そういう気がしてしょうがない(これは悪い意味で書いているわけじゃありません)。



思えばイニャリトゥ作品がオスカーの頂点に立つなんて、とんでもないことではないか。そこにもはや保守的な感覚は微塵も感じられないし、『バードマン』強しの流れの中でも、マイケル・キートンが主演男優賞を逃したのもまた、オスカー初ノミネーションで若手あろうとも、素晴らしい演技はそのまま評価するという、純然たる演技力の勝負に、俳優中心の現協会だからこそシフトしている気がする。


『6才』が負けた理由は、やはり配給のキャンペーンパワーの弱さだろう。今回の各部門での敗退はそう考えざるを得ない。また、リンクレイターの手法が、俳優にとって面白くない(興味をひかれない)というのも理由にあったかもしれない。リンクレイター監督は同じ役者としか組まないし、結果的には『6才』も『ビフォア』の延長線上と捉えられた可能性もある。とはいえ、考えれば考えるほど凄い作品なだけに、監督賞や編集賞くらいとっても良かったと思う。残念でしょうがない。



編集賞といえば、今回はダークホースの『セッション』が受賞。本作は今回3部門で受賞しており、今年度の台風の目と言っていいでしょう。


でもやっぱり、今年の一番の問題点は、編集賞に『バードマン』がノミネートしていなかったことだよなあ。編集賞部門にノミネートを受けずに、作品賞を受賞した作品は、相当遡ってもなく、はっきりいって編集賞候補落ちは、作品賞受賞の権利をもらえなかったと同義なのだ。このデータを信用しきった時点で、わたしの戦いは終わっていたのである。


兎にも角にも『バードマン』はまだ未見。作品賞受賞しているのに、編集賞にノミネートしなかったのはなぜか、そこに注目して観賞するようにしたい。



今年もオスカーは終わってしまった。やはりオスカーについてあれやこれ考えるのは楽しい。最近予想という分析に時間さけなくなってきているけれど、継続は力なり。なんとかオスカー予想も続けていけたらいいなと、そう思う今日この頃です。嗚呼、未見作品を観賞するのが待ち遠しいわ~(おわり)


~予想は24部門中16部門的中どまりでした~

■作品賞×バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

■監督賞×アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))

■主演男優賞○エディ・レッドメイン(博士と彼女のセオリー)

■主演女優賞○ジュリアン・ムーア(アリスのままで)

■助演男優賞○J・K・シモンズ(セッション)

■助演女優賞○パトリシア・アークェット(6才のボクが、大人になるまで。)

■脚本賞×バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

■脚色賞○イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

■撮影賞○バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

■編集賞×セッション

■美術賞○グランド・ブダペスト・ホテル

■衣装デザイン賞○グランド・ブダペスト・ホテル

■メーキャップ&ヘアスタイリング○グランド・ブダペスト・ホテル

■視覚効果賞○インターステラー

■録音賞×セッション

■音響編集賞○アメリカン・スナイパー

■作曲賞×グランド・ブタペスト・ホテル

■主題歌賞○「Glory」(Selma

■長編アニメーション映画賞×ベイマックス

■外国語映画賞○イーダ(ポーランド)

■長編ドキュメンタリー映画賞■○Citizenfour

■短編ドキュメンタリー映画賞○Crisis Hotline: Veterans Press 1

■短編実写映画賞○一本の電話

■短編アニメーション映画賞×愛犬とごちそう