「WIND AND SEA」という私が信頼してるファッションブランドがある。
今でこそ有名になってかっこいい芸能人とかもよく着てるので知る人ぞ知るって訳でもないが、ブランドのコンセプトとかすごく共感できるので好きだ。
結局「風と海」があればいいのだ。
そのブランドが少し前に「mid90s」という映画と公開前からコラボしたシリーズがあって、どんな映画なのか気になったので予告編だけを観てた。
予告編を観ただけでピンと来てたのでとりあえずワンシーンをプリントしてあるワークシャツを買って着てた。
いつ観ようか迷ってたらしばらく経ってた、
久しぶりに友達と映画の話をして、「mid90s」が話題に上がったので夜中に観てみた。
よくよく調べてみると学生の頃1人で観た「ムーンライト」というLGBTについて描かれた映画のスタッフが関わっているようで色々と合点が行くところもあった。
当時「ムーンライト」を観た時は自分の考えが至ってない部分もあったので深く考えることが出来ず、何か重要なことを言ってるんだろうな、と浅い感想を抱いた割に、かなり印象に残っている映画の一つだ。
また、もう一回観てみたいと思う。
「mid90s」に戻るが、観終わった後になるとこの映像についてタラタラと感想を述べるのは正直粋じゃないと思う。
"でも"大事にしたい感情を想起させる私にとっての大事な映像の一つになったし、ブログもただのメモ程度に考えているので少し書かせて欲しい。
舞台は90年代のアメリカ、80sでもなく00sでもなく90s
遠い昔でもなくそれほど最近の話でもない
90sのカルチャービデオ
85分という短い尺で「映画」というよりはあえて「映像」と言うのが近い表現ではないかと思った。
90sアメリカンカルチャーの黎明期
主人公はアメリカ郊外住む決して裕福じゃない家庭に生まれた13歳の少年。
黒人も白人も移民も入り混じるあまり治安が良いとは言えない町で暮らしている。
その少年が家族や友達や自分の葛藤を90sアメリカのスケートボードや音楽のカルチャーに触れながら、ほんの少しだけ大人になるというストーリー。
私が思春期に実際90sアメリカに触れて来た訳じゃないけど、誰もがきっと共感する部分がある映像の連続。
同じ親から生まれた年上の家族はなんかカッコよく見えて、出かけてる間に部屋に忍び込んでかっこよく見える理由をこっそり覗いて自分の物にしようとしてみたり。
少年の私たちは親の想像以上にいろんな世界を見てた。
作中で主人公の年齢は明言されてなかったけど自然と13歳の自分を重ねて見てた。
悪い事も危ない事もしたし、ちゃんと痛い目も見た。
だからどうって訳でも無いんだけどそんな日々があって、ただそれが過ぎた。
よくある沢山のきっかけを経験する度に感じる罪悪感と同時に、自分が新しい世界に踏み込む中で出会った憧れの人に認められることで嬉しくなったり、大人になったつもりになれたり、仲がいいと思ってた奴とすれ違って、言語化できない感情にワケわかんなくなったり。
青春って言ったりするのが広く伝わり易い。
言葉通りチープだけどそれで形成されて来た人格だし、過ぎてみればそれはゴールドだし。
でも、その過去をずっと大事に愛でたいワケでもない。
誰しもにあったはずの葛藤とか羨望とか、現実逃避とか。
改めて何度も見る物でもないけどビデオとかにして壁に飾っておきたい記憶。
揺れたり迷ったり没頭したり、周りと比べたり、明けないと思ってた夜みたいな時間があった、みんなそう。
でもその記憶があって、たまに何かのきっかけで頭によぎるだけで、少しだけ勇気が出そう。
そんな大事な映像だった。
バックトゥーベーシックって言葉は本当で
今世の中で、丁度90sカルチャーをもう一度振り返って昇華しようとする意図があるのを感じているのは私自身の感覚だけじゃなく間違っていないはず。
新しい物ばかりを追うのではなくたまに昔を振り返ってみて、次何が流行るのか予想したり、今に昇華してみたり、そういう上手なコピーアンドペーストが今ではクリエティブだったりセンスと呼ばれる時代になったのだと思う。