たくさんのバイクをお持ちのK様

今回はKAWASAKI Z1R-2の不調修理です。

CBXと入れ替わりで入庫です。

 

今回は回転の落ちが悪い?のと、ガソリンタンクキャップからガソリンが漏れるとのこと。

早速見ていきましょう。

 

まずはタンクキャップ。

ご存じの方も多いと思いますが・・・

KAWASAKIのタンクキャップ取付ビスはタンク内部に貫通しております。

 

ですので、キャップの取付座面にはOリングが入ります。

ビスのワッシャーも樹脂ワッシャーを使用します。

このOリング、ワッシャーが劣化しますと取付ビス周りからガソリンが滲みます。

定番の修理です。

 

Oリング、樹脂ワッシャーを交換。

ビスのねじ山にも耐ガソリン液体パッキンでシールして完成。

ただしガソリンを入れすぎると、キャップのエア抜き穴から漏れますので

ほどほどに満タンにしてください。

 

次は不調の原因を探求します。

まずはプラグをチェックすると、真っ黒。

この状態でもエアスクリューは2.5回転戻しになっています・・・。

 

一応エンジンの圧縮測定。

各気筒とも10キロ程で、ばらつきも無く良好です。

 

この車両は純正の点火系のままですので、念のためガバナーも点検。

錆も無く劣化はしていますがグリスは残っています。

 

綺麗に洗浄、軽く研磨してグリスアップ。

動きはスムーズでスプリングのへたりも問題なし。

 

バッテリーを充電しておこうとバッテリーを外したら

ブリーザーホースがこのような状態・・・。

一度他店で整備をしてもらっているはずなんですが・・・。

 

ここまでくれば後はキャブレターをチェックです。

まずはキャブを取り外してインマニのチェック。

 

インマニは交換されて間もないようなので、ヘッドの座面を面出しして取付。

この座面からの2次エア吸い込み対策も定番の修理箇所です。

 

キャブレターの内部はさほど汚れていないようです。

ジェットを外してセッティングのチェックです。

 

メインジェットが10番ほど番手が大きいです。

ノーマルエアクリーナー、ノーマルマフラーですので必要ないですね。

もしかしたら、過去に社外マフラーを取付されていたのかもですね。

マフラーをノーマルに戻したら、セッティングもノーマルに戻しましょう。

ニードルジェットの穴も腐食で広がっている様なので交換がベストです。

 

いつもお世話になっている、キースターさんの燃調キットを使用します。

今回はノーマル車両ですが、ジェット、ニードルが複数入っていますので

車両の状況に合わせて微妙なセッティングの変更が可能です。

 

軽く洗浄して組立準備です。

一応近い過去にオーバーホール的な作業はされているようで

パッキンも新しく燃料ホースジョイント部などはガス漏れがありません。

 

新品のジェットなどを組付けて、油面も調整して各気筒揃えます。

キースターのキットは賛否両論ありますが、ノーマルキャブにおいて

微妙なセッティング変更(特にニードル)ができるのは非常にうれしいです。

チョークバルブも入っていてこの価格は破格だと思います。

稀に、ノーマルセッティングで組付けて調子がでないからダメという方もいますが

車両の状態に合わせ用意されたジェットを使ってセッティングする能力があれば

これほど有難いものは無いと思います。

 

完成したキャブを取付してエンジン始動。

エアスクリューを仮で調整、1~1.25ぐらいでアイドリング安定します。

 

同調を調整しながら、エアスクリューも微調整。

 

ひとまずこれぐらいに合えば試乗できます。

以前に比べ吹け上りも軽く、回転の落ちも良いです。

 

この後、試乗をして微調整。

エアスクリューとニードルのクリップ段数、ニードルの太さも数パターン試して

程よいセッティングを模索して完成です。

街乗りでは極低速からの開け始めのフィーリングや

低開度パーシャルのフィーリングが重要だと思ってセッティングしています。

 

実は私が20数年前に欲しかったのは、今持っているMK2ではなく

Z1R-2だったんです。2型はタマ数が少なくなかなかお目にかかれませんでした。

テールカウルのスリムさや、このカラーリングが魅力的でした。

改めて実車を目の前にするとカッコ良いですね~。

貴重なノーマルマフラー、当時物外装ですので大事に乗ってあげてください。

いつもご依頼いただきありがとうございます。