Q、骨盤矯正は誰が最初に始めたのですか?
 
A、骨盤矯正の基本的な理論は医師が考え出したものです。
 
骨盤矯正は整体術、カイロプラクティック、オステオパシー、ロルフィング、操体法、AKA、JRCなどの民間療法で行われていますが、共通する基本的原理は次の通りです。

●骨盤(仙腸関節)は上半分が偽関節で下半分が真関節であるため多くの解剖学者が不動関節と定義していた。

●ところが片脚起立した人を前方からレントゲン撮影すると左右の恥骨にわずかなズレが生じることが発見され、骨盤(仙腸関節)には片側2ミリ程度の可動性があることが分かった。

●歩行時、恥骨結合を前方から見ると、左右の恥骨は逆方向に上下運動、逆方向に前後運動をしている。(クランク運動)

●両側の仙腸関節の中心軸を軸として仙骨は、うなづき運動と起き上がり運動をしている。仙骨がうなずくと腸骨上部は接近し、仙骨が起き上がると腸骨上部は離れる。

●仙腸関節の中心軸は第2仙骨のあたりにある。

●呼吸時や起立時の前後方向の重心移動に連動して仙骨は、うなづき運動と起き上がり運動をしている。

●仙骨は呼気時に前屈し、吸気時に後屈する。通常も1分間に5回前後のゆるやかな、うなづき起き上がり運動をしている。

●仙骨のうなづき、起き上がり運動は脳脊髄液の循環に関係している。

●仙腸関節の中心軸はわずかなブレがあり側面から見ると8の字を描くように動いている。

●歩行時、仙骨の中心軸を中心として左右の腸骨は逆方向に回転運動をしている。

●仙腸関節は仙腸関節だけを動かす主動作筋はなく大殿筋や腹筋、背筋、大腿部の筋肉が収縮することで間接的に動く。

●幼少期、仙腸関節は可動性を有しているが、成長するにしたがって可動性は減少してゆく。45歳以上では35%の人が骨化してまったく動かない仙腸関節を持っている。

●骨盤(仙腸関節)はズレることがある。仙腸関節のズレは仙腸関節部の痛みや腰痛・座骨神経痛の原因になることがある。
 
以上が骨盤矯正の基本的原理で、整体やカイロプラクティックなどでは基本的な知識として必ず授業の中で教えられています。
 
ところがこの基本原理のほとんどは実は、西洋医学の医師が発見したものです。
 
骨盤の歪みと体の痛みの関連性に一番最初に着目し、研究を始めたのは医師なのです。
 
ところが研究が進み骨盤のメカニズムが解明されるにつれ、大半の医師が骨盤に対する関心を失っていきます。
 
「骨盤は頑丈なので歪みを起こすことはまれ、腰痛や座骨神経痛の原因となる確率は極めて低い。腰痛や座骨神経痛の原因の多くは脊柱にある」という結論にいたります。
 
医師が骨盤に対する興味を失った頃、整体やカイロプラクティックなどの民間療法家が骨盤の研究を始め、施術に応用するようになります。
 
今現在、骨盤矯正を行っているのは医師ではなく、整体やカイロプラクティックなどの民間療法家です。
 
医師の多くが、骨盤の研究を始めたのは自分たち、という事実さえも忘れてしまっています。何とも皮肉なことです。
 
参考資料 カリエの痛みシリーズ カッパンディの関節の生理学 その他