アイは資格取得に向けて進み始めていた
アイは、自宅は諸事情で勉強に集中できる環境じゃないとグチをこぼしていた
自分の経験からも夜遅くまでやっている図書館はどうかと勧めるが、時はコロナ真っ只中
三密だなんだかんだと図書館の自習スペースも利用できるような状態じゃない
アイは勉強に集中できる場所を探していた
私は何とか彼女の助けになりたかった
ネットで色々な検索をしてみる
そして発見したのがレンタルルーム
これだ
私はアイにレンタルルームの存在を教えて、ここだったら仕事帰りに寄って勉強できると勧めた
アイは微妙な表情を浮かべる
どうしたのかと聞くと、お金が…と返ってきた
コロナでレンタルルームの利用料金は吊り上がっていた
しかも、これからコロナが更に流行するとなると図書館利用もいつからできるか分からない
年単位で借りるとなると相当な金額になる
お金がそれほどあるわけない若者に不躾な提案をしてしまった
俺が払うよ
思わず口に出た
いや、本心からそう思った
この子のためなら全然嫌じゃない
むしろお金のことで助けになれるならお安い御用だ
アイ:いや、お金はいいです
私:でも、助けになりたい、払わせてよ
アイ:ほんっとにお金は大丈夫です!
私:でも…
語気強く断るアイに、何だか悪いことを言った気がした
痛いおっさんだ…
アイ:ありがとうございます、自分で何とかします
じゃー、代わりに今度一緒にレンタルルームの見学行ってもらっていいですか?
私:もちろん!いつでもいいよ
アイが笑顔になる
アイに喜んでもらって心が踊る
私も笑顔になる
そんな空気の中、アイは言う
タクミさんの奥さんって絶対幸せですよね