TIGER　B.　SMITHはセカンド・ライフが後に改名したバンド名で、７２年と７４年に二枚のアルバムを残して解散している。自ずとメンバーはそのままで録音されたアルバムという事になるが、そのサウンドは少しカオス的でもあったセカンド・ライフより遥かにハードロックとして聴き易くなっている。それはリフが多少親しみ易くなったせいかもしれないが、ジェロニモを更にワイルドにした形の、Ｇ/ホルガー・シュミットを主軸とした暴力的とも眼に映る、粗さの残る豪快なサウンドはそのまま踏襲されたもの。

今回は楽曲の完成度の高さから７２年リリースの1ｓｔアルバムを紹介する事に及んだが、中でもパワートリオなるが故の、１０分にも及ぶ三位一体となった熱いバトルは聴きもの。

このアルバムでは全てに渡って曲中を這い摺り廻る超重量Ｂｓが存在感を醸しているが、Ｄｓも負けず劣らずといった処で、ヘビィでワイルドなサウンドを更に下支えしている。Ｖｏはセカンド・ライフと比べれば更に野性的で咆哮に近い歌唱法に進化を遂げており、ここでやっとバンドの方向性が確立されたといった処か、Ｇは気持ちよいほど弾き倒しているが、放つＧソロやフレーズに特別な魅力は感じられない。

ただこれだけワイルドで荒さの残るヘビィなサウンドであるにも拘わらず、気持ち良さの感じられるハードロックといった処が自身における偽らざる評価。出来る限り音量を上げて楽しみたいところです。

2ｎｄアルバムは単調なＲ＆Ｒに近いサウンドになりましたが、自身が感じた捨て曲の多さで、その内容紹介までには至りませんでした。これは好みの問題といった事もありますが、自身が間違いなくハードロック・ファンの方々にお薦め出来るのは、ブルースの進化した形のこの1ｓｔアルバムです。現在でもCDなら充分入手出来る筈です。

ヘビィで少し粗さの残る豪快なサウンドが魅力のパワートリオ /タイガー・B・スミス

ヘビィで少し粗さの残る豪快なサウンドが魅力のパワートリオ　/タイガー・B・スミス