ハードロックは我が人生そのもの

ハードロックは我が人生そのもの

70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

LEVIATHANはイギリスで結成されたVo、G、Bs、Dsから成る四人編成のバンドで、近年になって初めてCDがリリースされた事によって、自身はこのバンドの存在を同時に知る事が出来たが、現状ではアナログ盤が当時リリースされたか否かまでは判らない状況。自身は同好仲間からの情報によって通販で購入するに至ったが、もちろん日本ではそれまではほぼ無名に近いバンド。

69年録音と言った事で、そのサウンドは自ずとサイケに近いものといった事になるが、マイルドな声質を特徴としたVoにおける歌唱スタイルやコーラス・ワークが、R&B をベースにしたビート・ロック的というだけで、各奏者の奏でるサウンドは紛れもなくブルースを消化した形のハードロックに足を一歩踏み入れたもの。それはGにおける荒々しくも映るハイ上がりのG音や、曲によって使い分ける太いファズ音、それにブルース・テイスト満載とも言えるGフレーズやGソロに顕著に表れているが、それに加えパワフルな叩きっぷりを特長とする重量感に富んだDs、更に淡々と重いリズムを刻むBsを含めたリズム隊の活躍もサウンドに貢献したもの。

結果的にはサイケを引き摺った形のサイケハードといった事になろうが、比較的キャッチーな歌メロもよく練られた事が判るもので、全体的にはR&Bを感じさせてくれるミドルテンポの楽曲が多くを占めるものの、バラエティーに富んだ楽曲構成は捨て曲もなく最後まで通して聴けるし、これは少なくともCDを購入する上での最大のポジティヴ材料といった処。ここでもハードロック・バンドにおける定番カバー曲「エヴィル・ウーマン」が聴けるが、G奏者の存在感が光る少しダウナーにも映るヘヴィなアレンジが耳を捉えて離さない。

 

           69年録音


このアルバムと同じ69年に録音されたビートルズのアルバム「アビー・ロード」は、録音レンジが狭く間違いなくチープと感じられる録音でしたが、今に至るまでの度重なるリミックスやリマスターによって、全く別次元のサウンドへと変化を遂げました。このアルバムはそこまでは手を加えていないと思われますが、ハードロック黎明期における当時のサイケ・サウンドが録音も含めてどの様なものだったのか、このアルバムを聴けば初めてそのサウンドに触れるヤング・ジェネレイションの方々も充分理解出来るのではないでしょうか。数年前からロック・シーンにおける一部で再びサイケ・ブームが巻き起こっていますが、あらゆるジャンルの音楽が氾濫している昨今、サイケ・ブームとまでは決して言えないのが現状だと思えます。その現代版サイケ・サウンドは、当時とは随分異なる進歩した録音機材の恩恵もさることながら、エンジニアの質が向上した事に尽きると思えますが、音質の飛躍的向上による高解像度が災いしたものか、逆に69年当時の少しくぐもったチープに映るサウンドが懐かしくも感じられます、、、

このアルバムは今でも通販で充分入手出来ると思えますが、ハードロック・リスナーの方々にはサイケ・ハードとして間違いなく推せる様な気がします。これを機にサイケ・サウンドに触れてみたいと思われた方には是非お薦めの一枚です。