12月16日(水)本多劇場19時開演の
ナイロン100℃ 43rd SESSION「消失」を観に行きました。
ネタバレありますので、お気を付け下さい。
ロビー
公演プログラムは1800円
<タイムテーブル>
作・演出 : ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演 : 大倉孝二 みのすけ 犬山イヌコ
三宅弘城 松永玲子 / 八嶋智人
<あらすじ>
クリスマスの夜、パーティーの計画を練る兄チャズ(大倉孝二)と
弟スタンリー(みのすけ)。 しかし、楽しい一夜になるはずが、
ちょっとした誤算からその計画はもろくも崩れ去ってしまう。
スタンリーが想いを寄せるスワンレイク(犬山イヌコ)、
謎のヤミ医者ドーネン(三宅弘城)、兄弟の部屋を間借りしたいと言う
ネハムキン(松永玲子)、ガスの点検に来たと言うジャック(八嶋智人)。
兄弟の家に集まった彼らの抱えていた「秘密」が彼らの心を離れた時、
そこから生まれてくる全ての感情が彼らを破滅へと導いていく。
破滅の先に彼らが見たものとは?
チャズとスタンリーが住む家の一室によるワンシチュエーション。
大倉さんて、こんなに背、高かったっけ?とまずビックリ。
他の出演者の皆さんがそれほど背が高くない為、遠近法演出でも
使っているのかと思うほど大倉さんが大男に見えた(@_@)
過去の話なのかと思ったら、そうでもないようだった。
ここ数年、「ロンサム・ウェスト」、「海をゆく者」、「ツインズ」
とあまり兄弟仲がよろしくない演目ばかり見てきたので
チャズとスタンリーがじゃれ合っている様子が新鮮だった。
だがしかし、スタンリーの空気を読まない会話に違和感を
感じて、ひっかかっていたのだけれど、その理由が
分かるのは二部になってから。スワンレイクさんも天然ぽい
雰囲気な為、当初不思議君と不思議ちゃんの恋物語なのかと
思ってしまいました。
水道の水の水質が安定せず、時々歯がまじって出てくる。
チャズが井戸の様子を観に行った時、クリスマスだから、と
井戸の中にいる男の子にお菓子をあげてきた、と言う。
「そんなにお菓子をあげたら虫歯になっちゃうよ」という台詞。
歯は井戸に落ちた男の子が生きていて、その子の乳歯という事?
「ツインズ」の、”海に行った人が、人魚のように泳ぎながら生きている”
というホラーファンタジーのような話に、またしても頭に?マークが並ぶ。
一部では少したってから登場した八嶋さん演じるジャックのセリフから
話を読み解くのに必死。幕間でも周囲の人の話に耳をかたむける。
二部冒頭に映し出される解説でようやく全体が見えてきて、
高速に展開していくストーリーと、明らかになる真実に仰天しどうし。
ドーネンが、段差でやけにつまづき、なかなか言おうとしている
言葉が出てこないのはどういう意味があったのだろうか…
八嶋さんも三宅さんも、コメディな演技の時と、怒っている時の
演技の差が恐ろしいほど激しくて、いつも豹変ぶりにゾクっとする。
チャズは弟を、スタンリーは大切な記憶を、ドーネンは息子を、
スワンレイクさんは愛する人を、ネハムキンは夫と
これから始まるかもしれない恋の予感を、
ジャックは仕事を、とそれぞれの出演者、全員が
大切な物を失うという衝撃の「消失」ラストだった。
死んでいった者達の残像が頭にこびりついてしばらく離れませんでした。
カテコではケラさんがハットとコートとマフラー姿で登場。
最終戦争後の話、という事で世紀末的なテーマでしたが、
役者さん方の演技が素晴らしくて今回も余韻の残る舞台だった。