食道がんを患った叔母は
無事退院をし元気な声で電話をくれた。
ほっと胸をなでおろした翌日、、
今度は伯母が入院するとのこと。
伯母は母より9歳年上の御年88歳。
昔は着付けとお花の先生で
お弟子さんも沢山いて、広い自宅には
いつも誰かが来ていた。
その中心に伯母はおり
とても華やかな人だった。
気前もよく、着物の展示会がある度に
大量の反物を買い、自分で仕立て、
自分の娘や姪達に分け与えていた。
伯母が勝手に選ぶので、華やかな柄が多く
実は20年以上袖を通していないものもある。
小紋や色無地、そして訪問着まで。
嫁いだ先が元農家でその後
マンション経営を始めたので
かなり自由にお金を使っていた。
その伯母に2年ぶりにお正月にあった際、、
あれほど、おしゃれだった人が
頭は白髪で真っ白、顔も異常に白いファンデ
まるで、犬神家の一族に出てくる
双子の老婆のようになっていた。
そして鼻毛が沢山出ていた
会った瞬間から強烈に違和感を覚えた。
従姉妹によると、、
来ていない人が来ていたと言い張ったり
すぐそこの商店から帰ってこれなくなったり
そんなことがこの1年ほどしょっちゅうあり
目が離せないので
近々本人を説得して検査に行く。
ま、90歳以上になると半分が認知症との
記事をどこかで目にしたので、
親もいよいよかもね。
と、従姉妹は遠い目で語ってくれた。
その表情には疲れがにじみ出ていた。
そして、、
水頭症と診断されたそうだ。
水頭症とは、小児の病気と思っていたが
高齢者にもよく起こるそうだ。
認知症の1割の人が患っているそうだ。
その頭に溜まった水を
腰から管を通し抜くとのこと。
腰から血管を通って頭まで、、
想像してみた。
自分の腰から入った管が
背中、首を通り、そして口の奥を通り
いよいよ頭へ達する。
血管を飛び出し、バキュームのように
水を吸い取り、腰から水が出てくる。。
医学の発達に驚いたと共に、
たった4日の入院で奇行も良くなる。
メスをいれることなく良くなるのなら
少し怖いが、身を委ねるべきだろう。
二人のおばたちが立て続けに患ったので、
いよいよ世代交代か?
と不安に思ったが、まだまだ先のようだ。
良くなってくれるといいな。
そうだ、お孫ちゃんのお宮参りで
伯母からもらい、一度も袖を通していない
訪問着を着よう。
そして、写真を伯母に見せ
おばちゃんがくれた着物よ!と
にこやかに報告しよう。
さぞや華やかなお宮参りになることだろう。
着物のこと、覚えてくれているといいな。