母が入院してしまったので子供と交代で父の様子を伺いに。
日常のことは何でもできる父だったが、寄る年波にいろんなことを忘れ、母がいないことに不安感が大きい。
それでも朝夕は庭に水まき。
住宅地の小庭にそぐわぬ立派な松とつつじ、灯籠は私の婚家の庭から広島市内の私の実家の庭に移したものだ。
義父のうちの庭は立派な日本庭園で、樹齢百年を越える松が何本かあったのだが、取り壊すことになったために、父が、保存する目的で一本自宅に移植した。
松の引っ越しは本来慎重に何ヵ月もかけて根回しし、養生して行うものらしいが、急遽決まったために結構急いで掘り上げ、移植となったので、父はたいそう心配して、何度も樹木医を頼み、預かりものだから、と、大切にしてきた。
いずれは私たちが家をきれいにし、立派な庭を整えて亡き義父の思い出にこの松や灯籠を迎えるように、というつもりだったらしい。
ごめんね、あんなジャングルみたいな庭で。
私たち夫婦は庭はおろか家の手入れさえままならず、なるようにしかならない、とばかりに古びていくに任せた古民家暮らしで、到底この松を維持していくことはできそうにない。
命の危険を感じるほどの暑さが続いている。
昨今の夏の暑さは、百年を生きた木々には驚きだろう。
いやいや、あの日の熱さに比べたら、と、8月6日を生き延びた木々は言うだろうか?
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