出演:でんぱ組.inc
今年は仕事忙しく心身ともに崩壊寸前という毎日でした。
そんな中、NHKのアイドル特集的な番組で見つけ、ユーチューブ見続けて、秋にこのDVDを買い、数か月見込んだ(時に涙した)、でんぱ組.incとこのDVDの魅力について書いてみます。
最初に補足しますが、私は40代、アイドルを否定してきた訳ではありませんが、秋葉原、AKB、ももくろというワードには傾倒できなかったタイプの人間です。
チャットモンチーがここ2年くらいのマイブームでした。
そういう私のような人達にとってのガイダンスになればよいかなと思います。
【メンバーについて】
6人組でブルーを除いて20代後半。AKBの指原さんが21歳ということを考えるとアレなわけです。
そして各人がオタクだったり引きこもりだったりをプロフィールや売りにしている部分があります。
それは置いておくとして、アイドルという私の定規にあてて6人を表してみます。
前もって断っておきますが6人ともかわいいです。
赤色・・・笑顔や歌い方等、秋葉原にいるアイドル。という私のイメージに一番近い娘。踊りや所作にもそつがありません。本人も語っている通り、アイドルに憧れて頑張ってきたアイドル。言葉を換えれば普通のアイドルなのです。
白色・・・6人の中では飛びぬけた歌唱力の娘。そんな言葉はないと思いますが、アニメシンガーという印象です。また、私にとってはアニメシンガーというのはそんなに魅力的ではない訳です。
ミントグリーン・・・長身でアニメ声の娘。歌手・アイドルというよりタレントっぽい。歌手力や踊りはそつなくコントロールできる。少しそつがなさすぎる印象です。
イエロー・・・この娘も歌がうまい。元気印でコミックパートです。この娘も長身でテニスとかうまそうな体型ですが、速いダンスになると所作が追いついていかない。指先までの所作がおいついていけてない感じです。
紫・・・金髪で顔やスタイルも整っていて最も目を引きます。ダンスも経験者らしい美しさがあります。でもこの娘は歌唱力が5人に比べて低い。
ブルー・・・6人の中で最も若く、加入前からネットにダンス動画を公開していた娘。健康的で体の線が細く、ダンスがとてもうまく、映えます。でも紫の次に歌唱力は今一つです。
6人各自がどこか欠けている感じなのですが、6人で補完しあうような関係がこのグループというかチームの魅力であり、さらに、それでも欠けているピースを武道館に集まったファンがサイリウムとコール駆使して埋めて美しい絵を作り上げている。
そこまで含めた意味で、この武道館ライブは私の胸を打つのです。
また、他のアイドル同様に露出は多いのに、このチームはセクシーをあまり連想させず、歌う曲も恋愛をテーマしたものよりも、 (すごくパーソナルなものもありますが)抽象的な楽しさや喜び、とかが多い。平たく言ってしまえば幼稚なのです。
私が知り合いにこのチームの良さを伝える時に言うのは、「小さい甥っ子か姪っ子がいたら、見せて鼻息荒くさせたい」とかです。これが嘘のない私のでんぱ組.incの簡潔な印象です。
【武道館ライブと曲目について】
戦略的なヒャダイン、小沢健二、かせきさいだあ、玉屋2060、小池雅也といった面々の曲は多彩で武道館ライブを十分見ごたえ聞きごたえあるものにしています。
好きなバンドでもそうですが、捨て曲なしという訳ではやっぱりない訳なので、個人的に十曲をランキングしてまとめます。
⑩くちづけキボンヌ
数の少ないミディアムテンポのべたな恋愛ソングです。
白色の歌唱力は立体的なすごさだけでなく、この歌のようにやさしく丁寧な歌唱も上手にこなしています。曲の構成が好きなので選びました。
⑨サクラあっぱれーしょん
アンコールの最後で歌われる元気ソングです。
サビをよいしょよいしょと上げていくような曲の構成が好きです。
この曲前の6人の口上は私のような新参のファンでも泣いてしまう、ある意味このDVDの最も感動的なシーンといます。
⑧P and A
ブルーのダンス能力のショウケースといえるソロパートです。
6人のチームダンスでは見えないブルーの魅力が爆発しています。
⑦Dear☆Stageへようこそ
武道館で初披露の新曲だったようです。秋葉原の本拠地ディアステージの紹介ソングという枠を飛び出したポップなダンスソングです。そんな中にも「明日も生きれるように」といった言葉をはさんでくる狡猾で魅力的な曲になっています。
⑥W.W.D ⑤W.W.D Ⅱ
この2曲で6人が大体分かってしまうというプロフィールソングW.W.Dと、チームの抱える今の葛藤を引き摺り出してかなり強引に結論づけたW.W.D Ⅱはヒャダインプロデュースのものです。メンバー(特に紫とブルー)のパーソナルな感情が乗ってくるW.W.D Ⅱの強引な大サビは私ももらってしまいます。
④強い気持ち・強い愛
小沢健二のこの曲を歌っている動画を前に見て、「あ、でんぱ組.incのファンになって問題ない」と思った訳です。綺麗事とリアルを盛り込んだ歌詞がとても良いのです。
③ちゅるりちゅるりら
でんぱ組.incのファンになる直接的なきっかけソングです。蓮実重彦さんがある映画を評して使った言い回しですが「出鱈目さの釣瓶打ち」というのがとてもしっくりきます。ヒャダインという人の頭の良さを始めて実感した曲であり、個人的に今年印象に残った数少ない曲の内の一つです。超アップテンポでイエローがおばちゃんみたいになってしまいますが、それすらチャームポイントです。
②ORANGE RIUM
でんぱ組.incの歌唱は配分に差はあれ、基本的には6人のマイクリレーとなっています。歌い手としてのこの曲のキーパーソンは2人いて、1人は紫です。大切なパートを歌う彼女は歌唱能力が高くない訳ですが、彼女の声は心に近い場所から発せられているように感じられる為とても危うくそして感動的なパートになっています。
そしてもう1人はイエローです。白色の歌声が立体的なのに対して彼女は平面的に広がっていくような歌唱の持ち主に思えました。マイクリレーをする上で、各人の巧拙をうまく繋ぐような、うまくいえないところですが、サッカーでいうところのストライカーではなく、パサー。決定的なパスを繰り出せるような選手のように感じました。白色のソロからオレンジサイリウムの観客の合唱で始まるこの曲の大サビ「心の中に灯るものがあれば暗闇でも迷わない」という言葉が響いてくるのは観客を含めたマイクリレーの効果であり、その中でもイエローの繋ぎのうまさが特に印象に残りました。
①Future Diver
ステージダンスで円陣というのは後ろの人が隠れるという意味でセオリーに反しているのではと考えていました。先日、新曲をテレビでやってた時も従来のテレビ的ではないと思いましたが、この曲の冒頭の円陣。そしてそれが一回り小さくなる瞬間それだけでぐっときてしまう自分がいて、専売特許かは知りませんが、でんぱ組.incのフォーメーションとして円陣は必要不可欠なのだと感じました。
曲は、ゴールデンボンバーの女々しくてと同等くらいの汎用的なPOP性があり、歌詞は魅力的で魔力的な幼稚さを持っています。元々観客のコールも出来上がっている曲だからでしょうが、観客のコールはまるで曲の一部のように型にはまっており、ミントグリーンが舞台で語っていたように、「6人と観客ででんぱ組.inc」という言葉を証明するような感動的で幸福な時間であることが私にも伝わってきました。
紛うかたなきでんぱ組.incの代表曲で、最も私が力づけられた一曲でした。
以上、興味のない方も是非。男女問わず、一見一聴の価値はあると思います。
見て見てほしいです。