セルジオ越後コラム 2010/12/10 「FC東京なのか東京ガスなのか

http://news.livedoor.com/article/detail/5198594/



セルジオ爺さんが、またもやシニカルにつぶやいた。

J2降格の決まったFC東京に対して、だ。


「1300万人の街が、たとえば6万5000人の鹿嶋市に負けるというのは、本来とても珍しいことなのだが、Jリーグでは当たり前の光景となっている」


「東京がバルセロナやマドリッド、ミュンヘンのように、恒常的にリーグの中心、柱になることはとても難しい(パリのクラブは弱いけど)。現状のあり方では、無理だと言ってもいいね」


でも、セルジオさん。

パリだけでなく、ドイツのベルリン(ヘルタ・ベルリン)あたりも弱いぜよ。

FC東京だけを責めちゃ可愛そうなんじゃないかな。


第一、私自身も東京都民だけれど、FC東京は「東京のチーム」という感じがしないんだ。

調布のチームというか、西東京のチームというか……。


やっぱり23区内に本拠地がなきゃ、東京じゃないと思うんだよな。


「1300万人の」というのであれば、ね。




杉山茂樹のBLOG 2010/12/02 「Jリーグが活気を取り戻すために」

http://blog.livedoor.jp/sugicc402/archives/3125174.html



私も、1993年の創設期からずっとJリーグを見てきたファンの一人だ。


ジーコやリトバルスキー、ストイコビッチ、ドゥンガ、エムボマのような

ビッグネーム、スーパースターが活躍していた時代を知っている。


だから、いまのJリーグに華がないことを、とても寂しく感じている。


何もクリスチャーノ・ロナウドを獲れ、ルーニーやメッシを獲れ、などと、荒唐無稽なことは言わないが、

豪州代表のケネディが、いまのJリーグの最高外国人などというのは、あんまりではなかろうか?


「華がなくてもいいじゃないか」という人もいるだろうが、私はそう思わない。

Jリーグは、オタクだけのものではないはずだ。

普通の人を引き付ける魅力に欠ける。だから視聴率も取れない。そしてテレビ放送はされなくなる。

そんなコンテンツ、やがて衰退するに決まっているではないか。

「華がなくてもいい」というオタクは、そこまで視野が広くないのである。


「システム論者」として知られ、岡田ジャパン評では何かと批判されることの多かった杉山茂樹氏。

だが、彼は「華のない」Jリーグの現状について、ごく普通の感想を書き、課題感を示している。


同じアジアでも、カタールリーグ、中国リーグに遅れをとりつつある事実についても、

この機会に考えるべきだろう。

さて、宇都宮徹壱である。

スポナビや、サッカーダイジェストなどで記事を読んだ方も多いだろう。

金子達仁などに比べれば、知名度はまだまだだが、

「フットボールの犬」で、第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞しており、

大小に関わらず、国内外の様々な大会を取材している、

たいへん精力的な活動をしている人だ。


この人の書いた記事は、まあ、概ね悪くない。

元カメラマンだけあって、写真もいい。


問題は、この人のつぶやきだ。

宇都宮氏はTwitterをやっているのだが、

http://twitter.com/tete_room

まあ、これがろくなことをつぶやかないのである。


南アフリカW杯のときもひどかったが、

最近では2010/12/02に発表された、FIFAの2018・2022ワールドカップ開催地発表について。


ご存知のように、それぞれロシアとカタールに開催地が決まったが、

彼のつぶやきは、こうだ。

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(発表前)

今の私の心境。「絶対、日本!」というよりも

「頼むからカタールにだけはなってくれるな!」というのが本音です。

やっぱワールドカップでビールのみて~!
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(発表後)

えーーー、まじでーーー!

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日本が敗れたことより、カタールになったことのほうがショックです

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FIFAは分かってるのかな。これはクラブW杯ではないんだけど

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ロシアのこと、すっかり忘れていましたけど、

2018年はそれなりに楽しい大会になると思います。

各開催都市は個性的だし、メシも酒もうまいし、美人も多い。

問題は、ビザ取得が面倒なことですが、

8年後には多少は緩和されることを願いたいです

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逆に22年はすごく退屈な大会になりそう。昼は外に出られないくらい暑いし、

観光地も恐ろしく少ない。

まあ、秋田県くらいの国土ですから、各都市も特色があるわけではない。

酒は飲めないし、メシはコストパフォーマンスが悪いし、ホテルも高い。

メリットはストイックにサッカーに専念できることかな?

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と、ご覧のようにカタールに、ケンカを売っているのである。

本人が書いているように、日本が負けたことを嘆いているのではない。

「酒が自由に飲めない」カタールに決まったことで、ぶつくさ言っているのだ。


これが、ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞者の、ホンネなのだ。


私も、別にカタールでの開催には両手をあげて賛成する立場ではない。

オイルマネーでW杯を買ったのではないか、とも邪推している。

あの暑さの中で、どんな大会になるのか、心配もしている。


しかし、それを言うなら、

2002年の日本にだって、W杯を開催する資格などなかったではないか。

W杯に出場した実績もない。(立候補時点)

サッカーの文化や歴史だってない。

でも、そんな国に、W杯が(半分だけど)やってきてくれた。


宇都宮氏には、素直に応援してやろう、お手並み拝見といこう、という気持ちはないのだろうか。


酔っ払ってツィートしていたのだと、信じたい。

ラモス瑠偉オフィシャルブログ 2010/11/22 「先週1週間のまとめ

http://ameblo.jp/ramos-ruy/entry-10714039855.html


最近のラモスさんは、講演会などをやっていらっしゃるようで、その報告を中心とした内容。


一応、ちょうどJ1で優勝した名古屋グランパスの話題にも、わずかに触れている。

「今年の初めの僕の予想 鹿島か川崎か名古屋の優勝 当たったな! (`∀´)」とノンキなことを書き、

「来年はそろそろ 川崎か清水に優勝してもらいたいなあ」と結んでいる。

この人が言うと、川崎は川崎でも、違うチームを思い浮かべてしまうのだけど。まあ、それはいいとして。


しかし、本当にどうでもいい日記だなぁと、ガッカリしてしまった。


いや、他の人ならこれでもいい。

同じJリーグOBでも、小倉隆史や北沢豪のブログなら、こんなものでもいいだろう。


だが、これはラモスの日記だ。


現役時代のラモスは、熱い人だった。

その熱さがない。

それが悲しい。


別に、むやみやたらに吠える必要はないが、

あなただからこそ指摘できることは、「当たったな! (`∀´)」じゃないだろう、と素直に思う。

首位の名古屋に大差をつけられた、2位以下のチームに対する指摘とか、叱咤とか、あってしかるべきではなかろうか?


繰り返すが、他のJリーグOBには、そんな期待は一切していない。

しかし、ブラジル出身であり、日本リーグ時代からの名選手であり、監督経験もあるラモス。

技術・戦術・精神論・歴史、どの角度からでもサッカーを語れる強みがある。


セルジオ越後氏が年老いていく中、日本サッカー界の「辛口のご意見番」はラモスしかいないと思っていた。


それが、、「当たったな! (`∀´)」じゃないだろう。

あ~、もったいなくて仕方がない。


本人も、今の立ち位置を悩んでいたりはしないのだろうか?

スポニチワールドサッカープラス 2010/11/20 「“寄せ集めU-21”が見せた成熟の連動性

http://wsp.sponichi.co.jp/column/archives/2010/11/post_1752.html


さて、金子達仁氏である。

この人には、かつて、間違いなく日本におけるサッカージャーナリストの代表格、

サッカーライターのキングだった時期がある。

1996年のアトランタ五輪から、1998年のフランスW杯の期間がそうだ。


当時、日本サッカーの新しいヒーローだったのが、中田英寿や川口能活。

そんな彼らと極めて近い距離にいられた金子は、彼だからこそ書ける記事を書き、彼だからこそできる仕事をしていたと言える。


しかし、今はどうだろう。

知名度こそ抜群だが、「もう金子の言うことは聞いていられないよ」というサッカーファンも少なくないのではないだろうか。

なにしろ、記憶に新しい南アフリカW杯で、日本がカメルーンに勝利した記念すべき日に、「喜べない」と書いたのだ。


ネット上でも、セルジオ越後や杉山茂樹と同列に位置づけられるのをよく目にする。

日本代表を素直に褒めない、称えない、無理に辛口を演じている批評家として、である。


しかし、同列だろうか?

ブラジル出身であり、自らも(少なくとも日本レベルでは)名プレイヤーだったセルジオ氏や、

賛否両論はあれど、「システム論者」という分かりやすいキャラを打ち出している杉山氏と比べると、

金子氏の記事には、信頼性も、存在感も、薄いように思えてならない。


今回の記事では、アジア大会を戦っているU-21日本代表について書いているが、

まあ、彼はどれだけ、この選手たちのことを知っているのだろうか。

「“寄せ集めU-21”が見せた成熟の連動性」と題しているが、

彼自身、U-21やこの大会の情報を、どこかから“寄せ集め”て書いている。

記事を繰り返し読むたびに、そんな気がしてならない。


自ら取材をして、自分しか書き得ないことを書く。

そんな気概は、もう期待できないのだろうか?

蹴球幻想 2010/11/18 「J2クラブの昇格財務条件」

http://syukyugensou.blog134.fc2.com/blog-entry-12.html


さて、ミカミカンタ氏である。氏が久々にブログを更新してくれた。

内容は、J2の昇格財務条件を紹介した上で、「皆さん、来季は仲間を連れて、みんなでスタジアムへ足を運びましょう!」と、草の根運動を呼びかけている。


このミカミカンタ氏は、最近、私がもっとも注目しているサッカーライターだ。

「サッカー批評」誌を見ても分かるが、ジャーナリストとしてマトモなスタンスを貫いていると思う。

たいへん好きなライターだ。



ただ、今回の記事自体は「ふーん」といったところか。

「1回誘ってダメなら2回、3回、4回…相手が根負けしてスタジアムに来てくれるまで」と書いている。

趣旨には賛同したいが、実際問題、J2の試合など、いくら熱心に誘われたって、普通の人が見に行くわけがないではないか。



私はJ2のゲームには、もっと付加価値がなければならないと思っている。

知恵を絞って、商品力をアップするべきだと思う。

J2のチケットも、そう安くはない。

試合時間も、もちろんJ1と変わらない。



これだけ娯楽が世に溢れ、一方で不況から自由になるお金や時間が限られている昨今、J2観戦を選択するのは、よほどのことだ。

まず「見てみたい!」と思わせる何かがなければ、人はスタジアムに足を運ばない。

その点についても、ぜひミカミカンタ氏には言及してもらいたいところである。

セルジオ越後コラム 2010/11/12 「グランパスは笑えない冗談」

http://footballweekly.jp/archives/1519683.html


セルジオ越後といえば、辛口サッカー評論家として有名だ。

辛口がいきすぎて、時には、「いくら何でも、そりゃ理不尽だろ!」とツッコミたくなる暴論も見受けられる。

しかし、基本的には日本サッカー界の抱える問題や矛盾を、ブラジル出身の氏ならではの視点から鋭く指摘していることが多い。


今回の「グランパスは笑えない冗談」というコラムもそうだ。

中国・広州で開催されているアジア大会について言及している。

この大会に参加しているサッカー日本代表は、一応はU-21代表(五輪代表)ということだが、普通のサッカーファンが知っているような名前はまったく含まれていない。

セルジオ氏が指摘するように、大学生が主体のチームなのだ。


「Jリーグはもともと、日本代表のサッカーを強くするために、という意図で生まれたものだ」「しかし現在はこの意図が忘れられ、Jリーグとサッカー協会の関係が昔のように太いものではなくなっている」と、近年目立つ日本サッカーの強化課題を、ズバリと指摘してくれた。


ところで最後に、「現在リーグ戦首位のグランパスに代表選手が一人しかいないというのは、笑えない冗談だよ」と結んでいるが、これも今に限ったことではないね。

岡田さんが代表監督だったときなんて、高校生を選んだり(市川)、J2から選んだり(香川)してた。

まるで神保町の古本市だね。



サッカーコラム J3 Plus+ 2010/11/09 「今シーズンのベストプレーヤーを考える。 (GK編)」 

http://llabtooflatot.blog102.fc2.com/blog-entry-2176.html



はじめに。

これは、いわゆるプロのサッカー関係者のものではなく、シロウトさんのブログである。

シロウトさんなので文章も巧くはないのだが、各回のサブタイトルのつけ方がたいへん上手で、ついついクリックしてしまう(そして毎回、期待を裏切られる)。


で、今回の「今シーズンのベストプレーヤーを考える。 (GK編)」 だが、コラムの前半では出場試合数や失点数を交えながら、データに基づいた論理的な分析を展開し(ようとし)ている。

ところが、最後がいただけない。

いろいろゴタクを並べておきながら、結局、ベストは個人的な〝印象値〟で決めているのである。


選定の理由を原文のまま紹介するが、失点は少なくないが「存在感は際立っており、大事なところで印象的なビッグセーブを何度も見せている」だそうだ。


「……さっきまでのデータ、関係ないじゃん」と、僕は大いにガッカリした。

結論ありきで書くとこうなる、という見本である。


ま、誰がベストキーパーに選ばれてるかは、ブログの方をご覧ください。


確かにベストキーパーの選出方法が難しいのは事実だ。

たとえば、この記事ではビッグセーブの目立ったキーパーを特筆しているが、そもそも「ビッグセーブが目立つキーパーは、ポジショニングが良くない」とする識者もいるのである。

何を軸にしようとも、異論は出るだろう。


が、仮にも1シーズンのベストプレーヤーを決めようというのなら、「印象」とか「存在感」じゃなくて、もうちょっとマシな選び方はできないもんか。

だいたい、「存在感は際立っており」というのも陳腐な表現で、かつ、根拠がない。

それに、印象値や存在感でベストキーパーを選んでいいなら、史上最強は、まずイギータかチラベルトになるだろう。

でもそれじゃダメでしょ。結論はともかく、ロジックが。


百歩譲って、どうしても「印象」とか「存在感」でナンバーワンを決めたいのであれば、はじめから堂々とそう宣言して、徹底して書いてほしい。

出場試合数がどうだとか、失点率がどうだとか、いかにも「多角的に分析した結果なんです」といわんばかりの、途中までの余計なゴタクはいらないのである。

とにかく、自分で立てた企画なんだから、もうちょっと万人が納得できるロジックを用意してほしいものである。

その辺がシロウトなんだろうけどね。


杉山茂樹のBLOG 2010/11/09 「地方エネルギーを引き出せ」 

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/sugicc402/3085375



日本シリーズ「ロッテ対中日」を観戦した杉山サンが、同じく熱戦のわりに低視聴率だったナビスコカップ決勝戦(磐田対広島)を引き合いに出し、持論を展開している。


いわく、千葉も名古屋も磐田も広島も、地方である。

地方がいくら盛り上がろうとも、日本全体として盛り上がることにはつながらない。

結果、低視聴率となるのは必然、というわけである。


だが、今回の記事が優れているのは、Jリーグの低視聴率やローカル性をただ嘆くだけでなく、具体的に「どうすればいいか」を提案している点である。
すばらしいね。

ただのシステム論者じゃなかった。


それにしても酷いのが、今回のナビスコカップ決勝戦。

意外な好ゲームだったことは認めるが、しかし視聴率たったの3.5%。

他のサッカー評論家や関係者に聞きたいんだけど、このままでいいと思ってるのかね?


「でも、スタジアムは盛り上がっていました」なんてコメントしていたのは、ゲキサカ編集部のTwitterだったか。

うへぇ、危機感なさすぎ。


Jリーグは地域密着型であり、その理念は素晴らしいし、これからも継続すべきだろう。

だからといって、「Jリーグ放送 = 数字が取れない」という状況がいつまでも続いていいわけがない。

日本サッカーを文化として考えても、産業として考えても、3.5%じゃまずかろうに。


そんな中、問題提起と改善案を同時に提示した杉山サン。

今回の記事には、★★★を献上したい。