従来は自動車と並ぶ外貨の稼ぎ頭であった電子産業は

2013年に貿易収支がとうとう赤字になりました。

また国内生産額は2000年の26兆円をピークとして

2013年には約11兆円と半分以下に落ち込んでいます。

生産の海外移転という要因もありますが、

その代表的な製品であるテレビ、半導体については

海外メーカーとの競争の敗者となっていることは

紛れもない事実です。


日本の電子産業が衰退した大きな要因の一つ目は

設計と製造を分業しなかったこと、

もう一つは2000年後半における日本のテレビ・メーカーの

巨額な設備投資です。


あくまでも国内における地デジ特需による

国内需要の急伸を

「地デジ移行後に売れなくなったらどうするか」

という点を考慮せず

大型投資を行ったため、供給過多となってしまい

現在の収益悪化につながったのです。


八千代市の公共設備の老朽化や

それに伴う修繕費用について様々な議論が

交わされていますが、

全ての支出分析を原点とする

調達改革推進者の私としては

ここでTCO (Total Cost of Ownership)

の重要性について声を大にして申し上げたいのです。


TCOとは「総保有コスト」のことで

ある設備などの資産に関する、

購入から廃棄までに必要な時間と支出の総計

を言います。


予算を作成し要求する際、

初期投資額(CAPEXと言います)だけに注目しがちです。

TCOは、ランニングコストOPEXと言って

保守・運用・維持等のための費用を指します。

例として設備・システムなどの保守点検、

管理のための人件費、光熱費など)

をトータルに含めた経費で、実際に支出すべき金銭の

全額にあたります。


例えば八千代市内の小中学校の

エアコン導入費用について、現在、

CAPEX=約35億円の財源をどう確保するのか

の議論しかなされていません。


TCOの観点からは、少子高齢化に伴う

小中学校の統廃合の可能性を鑑み

計画的な保守点検の体制、管理業務の外注など

十分に検討しなければ

設備が老朽化したときに現在と同じ

「どうするハコモノ行政」という問題が

発生します。


外貨の稼ぎ頭であった電子産業が衰退した道は

自治体経営にとっても他人事ではありません。


私はこれからもTCOの重要性を

執行部、市民、議会に訴えていきます。