Vast社新薬候補品は2020年に治験中の新薬申請予定 | 非結核性抗酸菌症を考える

非結核性抗酸菌症を考える

あっころと申します
2018年5月の健康診断で肺の結節影を指摘されました。
現在、非結核性抗酸菌症疑いで経過観察中です。
今後の治療や今できる健康対策など書いていきます。

昨日の記事の補足情報を少し、

表題のようにVast社新薬候補品の化合物「BIOC11」はHP情報によると

 

『緑膿菌の慢性感染症と闘う嚢胞性線維症患者を治療するための

一酸化窒素ベースの薬剤の開発に注力しています。

当社は、2020年に治験中の新薬申請を提出し、

First-in-Human臨床試験を開始する予定です。』

 

色々な感染症に効きそうな化合物ですが、まず審査の対象として

緑膿菌を持った嚢胞性線維症患者に治験者になってもらう。

だからまず新薬が出来たらこれらの患者向けの薬として申請されます。

 

治験は健常者へ少量での投薬から始まり最大量まで増やします。

一人の結果を見る期間×投薬量の増加、その繰り返し数回で決まります。

さらに2次治験で少人数のし患者への投薬も始まりそれが終わったら、

規模を拡大して効果を調べます。数年単位ですね。

 

こちらが新薬としてでまわるかですが、

新薬候補が普通製品までたどり着く割合は低く、30分の1か40分の1

くらいなのだとか、しかし抗菌薬は事前に菌が殺せているかどうか

シャーレで確認できるので5分の1くらいは世の中に出回る可能性があるそうです。

 

ただこちらの一酸化窒素はそもそも毒なので、抗菌薬の枠に入れられるかは

微妙。。。この薬はどの細菌も死滅させる力があったようなので、毒性が一番の

問題になると考えられます。ここがクリアーできると良いのですが、下の記事を見ると

毒性確認もある程度出来ている感じがしますね。

 

2018年11月の複十字病院の先生が書かれた記事に

https://jata.or.jp/rit/rj/383-22.pdf

『一酸化窒素(NO)を高濃度 で吸入して最難治性抗酸菌症である

肺M. abscessus 症 を治療する,というものです。

NOは,生体内でも産 生され抗菌活性を有することから,

高濃度で吸入して 抗菌治療しようという発想です。

既に安全性を確認し ており,160 ppmの吸入では問題がなかったそうです。

 健常人の平均的な鼻腔のNO濃度は0.5ppm程度な ので300倍以上の濃度になります。

基礎実験では M. abscessus だけでなく,真菌のAspergillus にも効果 があるそうです。

発表の一つはイスラエルのグループ からで,嚢胞性線維症という肺基礎疾患をもつ患者さ んに

M. abscessus が2次感染した症例に対する,オー プンラベルの前向き試験の結果でした。

160 ppm(1 回30分1日5回)を計3週間吸入した結果,菌データ が得られている5例のうち1例が消失,

3例が減少を認 めた,としていました。合併症は認めず充分に施行可 能であり,

将来期待できる治療法だと結論していまし た。』

 

大手製薬会社は自前で資金調達ができるので、人への治験に入るまで

情報が開示されませんが、こちらのようなベンチャー企業は資金調達

するため積極的に情報を開示する傾向があります。

HPを見ると資金調達も出来ているようだし、

化合物は複数あり、

アメリカから優先審査とファストトラックステータスの資格を得ているので

薬が出来上がったら申請も早いことになります。

 

中々明るい話題ではないでしょうか。