WOWOWといえば、山崎豊子原作の「沈まぬ太陽」をドラマ化し放映していた。実はそれに気づかず、huluの配信で知り、入院中の病室で何度見たことだろう。今の地上波ではあり得ない全20話と見応え十分。何より彼女の原作は映画では描ききれない、連続ドラマだからこそだと思う。

 

そして今度は「華麗なる一族」もまた2年前の放映に気づかず、やはりhuluの配信で知った。ほとんど一気見したのだが、やはり全10話では物足りない。それにちょっとキャスティングが、重厚なストーリーを演じ切るにはちょっと小粒感は否めない。時代わ昭和40年代、使われる車やほとんどの登場人物がタバコを吸うところなどは時代考証をそれなりにできていたと思うが、それにしても配役がちょっとというのが正直な感想だ。どうしても過去の同名のドラマや映画と比べてしまうからだ。ただ原作が優れているから見入ってしまう。

 

例えば万俵大介は映画の佐分利信が私にはベストだし、長男鉄平は半世紀近く前のドラマ版の加山雄三がいい。大同銀行の三雲頭取はこれまで池部良とか二谷英明などが演じているが、これは今回の石黒賢も遜色ないと思う。ただ同銀行の綿貫専務は映画の西村晃一択。時代背景をそのまま描くなら、やはり昭和を生き抜いてきた俳優には敵わない。ただ高須相子役は小川真由美もいいが、鈴木京香も改めて観てみたい。

 

私は山崎豊子作品を数多く読み、映画やドラマを観てきたが、この先原作に忠実に映像化するのは難しくなるだろう。現代の人間と昭和の人間の姿があまりにも変わってきているから、どうしても時代錯誤にしか見えず軽々しく見えてしまう。もし今後映像化するならば、時間軸を現代に移して制作したらどうだろう。もちろんそれは故山崎豊子さんに失礼に当たるとは思うが。