父島は大晦日を迎えました。

その日は朝から雨が降ったりやんだり。開けっ放しの窓からは、珍しく涼しい風が吹き込んでいます。
大晦日だし雨だし、今日のロードワークはお休み。
部屋でトレーニングと朝食を済ませ、宿の傘をお借りして散歩に出かけました。
少し歩くと、飲食街に隣接してお土産屋が軒を列ねていました。
手染めしたTシャツや貝殻をちりばめたコースター、何かの植物の皮で編んだカゴなど、いろんなお土産がそれぞれの店先に並んでいます。

雨があがり、閉じた傘を持ちながら、2~3軒見て歩いたところで声をかけられました。
「どの店も似たり寄ったりだぁ~」
声のする方を振り返ると、店先に出したイスに腰掛けた島の老紳士が、まぶしそうにこちらを見上げていました。
「あはは、そうですか」
「そぉだぁ~」
やはり、歌うように答えます。
長袖Yシャツに長ズボン。足元は例のサンダル。
顔や手足は赤銅色に日焼けしています。
「兄さん、寒くないのかい?」
そのときの私の出で立ちは、島に来てからずっと変わらず、Tシャツ、短パン。
涼しいと言っても、30℃近くはいっているはず。
「島に来て、寒いと思ったことないですよ~」
「兄さん、どっから来たの?」
「北海道です」
「そりゃあ、あったかく感じるんだろうねぇ。あたしらみたいに島に長く住んでるとネ、気温が30℃割ると、寒く感じちゃうんだよ、ねぇ~」
Yシャツの袖を撫で付けながら嬉しそうに話してくれるのです。
「30℃以上が普通なんですね」
「そうそう、そうなんだよ~」
体が南国仕様になってしまうのですね。
どの土地でも冬は、そこに住む人たちが「寒い」と感じるのだ、ということがわかりました。

いろんなお土産屋がある中で、手染めのTシャツやバンダナなどを売っている店がありました。店内をぐるっと一回り。島を離れる前に買って帰ろうと思うものに目星を付けてから店を出ようとして、背後から声がかかりました。
「お客さん、観光?」
振り返ると、白髪頭を短く刈った、ごつい体格のおじさんが立っていました。体の前にちょこっと乗っかるようにつけている緑色のエプロンがはち切れそうになっています。
「ええ、まあ」
「3日の船で帰るのかい?」
「いえ、9日の便で」
「ゆっくりできるんだね」「ああ、そうです」
「聞いといてよかった。ここいら辺のお土産屋はね、3日の船が出たら、店閉めちゃうんだよ」
「ええっ、ホントですか?!」
「うん。だからね、お土産買うんだったら3日までに買った方がいいよ」
「はい」
「うちらは3日過ぎてから、ようやく正月が来るんだよね」
とても気さくでとても親切なのです。
「もう一回、店の中、見ていいですか?」
「いくらでも見てちょうだい!」
Tシャツの柄をよく見ると、青や緑の絞り染だけだと思っていたところに白く抜いた模様が見えてきました。目を凝らすと、それはクジラとイルカでした。クジラもイルカも小笠原の海で見ることができます。この島らしいTシャツなのです。横にあるバンダナも同じように、クジラとイルカの模様があります。
この時点で、今、Tシャツとバンダナを買ってしまうことに心が決まっていました。青いLと緑のM。私と彼女のTシャツ。そしてバンダナ3色セット。後年、Tシャツはどちらも擦り切れるまで着て、お役御免となりましたが、バンダナは息子達のお弁当包みとして、今も現役です。
「あのぅ、これとこれください」
「無理にすすめちゃったみたいで、悪いネ」
「おっしゃっていただく前から、買おうと思ってたので」
その後、しばらく店のおじさんとなんやらかんやら立ち話していました。
レジカウンター横の棚に、小笠原に関する本が並び、さらにその隣にCDも並んでいました。
ジャケットにはクジラが海面からジャンプしている写真。何のCDか気になったので尋ねてみました。
「これって何のCDですか?」
「ああ、これね。クジラの鳴き声を録音したやつなんだよ。売れなくてね」
「これもください」
「無理に買わなくていいんだよ」
「記念です。次、いつ島に来れるか分からないから」「ありがとうございます」
レジで笑顔で商品を渡してくれた店のおじさん。口元だけはきりっと真一文字に引き締めていました。
島のものを受け取りながら、島の人たちの気持ちまで手渡ししてもらったかのようでした。

「また来ます」
「待ってるよ」

店を出ると、外はまた雨。やわらかい降り方です。
店先の軒下から通りをうかがいます。
傘をさした人が数人歩いていました。

この店のおじさん。
さっきの長袖Yシャツの老紳士。
街往く人たち。
それぞれの生活があります。

揺れ動く色とりどりの傘の群れを眺めながら、意識はいつの間にか自分に向いていました。

「結婚」に向けて踏まなければならない段取りが、来年からたくさんあります。

「今は静かに待とう」

軒先からしたたる雨のしずくが路面を打つ同じリズムに、否応なしに突き進む「時」の流れを見ているかのようでした。
いつもメールを送っていたラジオ番組
毎週火曜日22時から北海道のFM白石で放送している
尻ミッターフジオのアンチエイジングラジオ
「ラジプリ」

その尻ミッターさんから呼ばれて、ゲスト出演いたしました。
緊張したけど楽しかったです。
「ラジプリ」のみなさん、ありがとうございました。



インターネットからも聴けますし
USTREAMでも見ることができます。
楽しいですよーっ!



$ぼっさちゃんのリングアウト!-IMG_5499.jpg
お尻師匠と記念撮影。


$ぼっさちゃんのリングアウト!-IMG_1431.jpg
アシスタントのいづみさんと。あからさまにニヤける私・・・。
$ぼっさちゃんのリングアウト!-201109111848000.jpg
手巻き、まき、まき~、手巻き寿司!
マグロ、サーモン、しめさば、イカ、カニかま、それになくてはならないきゅうりです。

$ぼっさちゃんのリングアウト!-201109111849000.jpg
そのほかに、イクラ、納豆、ツナマヨ、イカの塩辛、中華クラゲにさけるチーズ。

$ぼっさちゃんのリングアウト!-201109111849001.jpg
そして、主役のすし飯。やっぱり飯で決まります。

$ぼっさちゃんのリングアウト!-201109111858000.jpg
刺身はカミさん、息子達に任して、私はこれ!
カッパ巻きです!!
どうしてこんなにうまいんだろか?!

$ぼっさちゃんのリングアウト!-201109111907000.jpg
「パパ、またカッパ巻きばかり」と言われないように
中華クラゲ巻きも。これも、うまい!!

ちなみに、私もマグロとかイカをちゃんと食べました。
カッパ巻きの合間に。
あと、イカの塩辛を大根の刺身のツマと合わせて巻いて食うと、意外にうまいです。

息子達はサーモンとさけるチーズという、味の想像がつかないような巻きにして食っています。
そうかと思えば「イカ納豆」にしてみたり、サーモンとイクラで「親子巻き」にしてみたり。
食い終わるまで大忙しなのです。

そうした喧噪をよそに、私はひたすら「カッパ巻きの人」と化していくのでありました。


ごちそうさまでした!!