あの日、人生が少し変わった瞬間――暗いトンネルを抜けると、パァーッと光が広がる球場。春の風がグラウンドを撫で、桜の花びらが舞う。スタンドに座ると、向こうに人の波。でも、何かが違う――雰囲気が普通じゃない。
胸の文字が目に入り、頭の中で『近鉄バファローズ』と繋がった瞬間、心臓が跳ねた。「ヤバい…」そのとき、監督の声。「へ〜い、彼女何してるの!?」思わず答える。「ごめんなさい、間違えて入って来ました。すぐ帰ります…」監督はにっこり笑い、言った。「帰らなくてもいいじゃない、ずっと居たら!?」私は息をのむ。「えっ…良いんですか? じゃあ…お邪魔します」
前川清『大阪』のメロディが、春の光と桜の中でそっと流れるように、あの瞬間のドキドキと甘さを包み込む。それが、私の青春と運命のすべての始まりだった。