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卒論アンケートにご支援ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
更新に時間がかかってしまいましたが、、、
アンケートに関しては、下記のようにまとめさせていただきました。（一部、簡潔な表記に変えています）

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卒論にではなく、単純にアンケート結果にご興味のある方は、こちらのページをご覧下さい。
卒論アンケート結果【簡易版】

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卒論テーマ：『ネット友達の定義と心理的効果について』

【本論】

第2章ネット友達の定義
　第1節ネット友達とリアル友達の差異

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アンケート内容

設問1：ネット友達の有無
　あなたはインターネット上で知り合った友達(ネット友達)がいますか。　
　※いずれかを選択(「いいえ」の方は、ここで終了してください)
　①はい　②いいえ　→アンケート終了
　
設問2：ネット友達の数
　現在、あなたのネット友達は何人いますか。　
　※数値を入力
　( )人

設問3：ネット友達との交流
あなたが直接会ったり、話をしたことのあるネット友達は何人いますか。　
　※数値を入力（いない方は、「0：ゼロ」を入力してください）
　( )人

設問4：ネット友達について　
　あなたのネット友達には、どのような人が当てはまりますか。下記の中から該当するものを“全て”お選びください。
　※複数選択可
　( )ネット友達には、個人的な情報（氏名や年齢など）をあまり知らない人も含まれる。
　( )ネット友達には、SNS等で友達を管理するリストに載っている人は全員含まれる。
　( )ネット友達には、現実社会で出会った友達（リアル友達）と同じような条件の人“だけ”が含まれる。
　( )ネット友達には、最近まで交流のあった人“だけ”が含まれる。
　( )ネット友達には、直接会ったり、話したりしたことのある人“だけ”が含まれる。
　( )ネット友達には、ごく親しい友達“だけ”が含まれる。
　( )その他

設問5：前設問のその他について
　前の設問で「その他」と回答された方は、その内容についてお教えください。

設問6：ネット友達とリアル友達について（実態調査）
　ネット友達と現実社会で出会った友達(リアル友達)についてお聞きします。あなたのネット友達とリアル友達を比較して、該当するものを次の選択肢の中から１つお選びください。
　【五択】＊各項目にて、ネット友達・ややネット友達・変わらない・ややリアル友達・リアル友達、のいずれかを選択
　( )　現在、あなたと親しい仲の友達はどちらに多いですか？
　( )　普段、あなたと交流が多いのはどちらですか？
　( )　あなたと共通する趣味や関心をもつ友達はどちらに多いですか？
　( )　あなたと共通する考え方や価値観をもつ友達はどちらに多いですか？
　( )　あなたが信頼感を持てる友達はどちらに多いですか？

設問7：ネット友達とリアル友達の比較（意識調査）
　ネット友達と現実社会で出会った友達(リアル友達)についてお聞きします。ネット友達とリアル友達に対するあなた自身のお考えについて、該当すると思うものを次の選択肢の中から１つお選びください。
　【五択】＊各項目にて、ネット友達・ややネット友達・変わらない・ややリアル友達・リアル友達、のいずれかを選択
( )　あなたが友達になりやすいと感じるのはどちらですか？
　( )　あなたが親しい友達になりやすいと感じるのはどちらですか？
　( )　あなたがコミュニケーションを取りやすいと感じるのはどちらですか？
　( )　あなたが本音を話しやすいと感じるのはどちらですか？
　( )　あなたが他の人には言いにくい悩みについて、相談をしやすいと感じるのはどちらですか？
　( )　あなたが好感を抱きやすいと感じるのはどちらですか？
　( )　あなたが嫌悪感を抱きやすいと感じるのはどちらですか？

設問8：性別
　あなたの性別をお教えください。
　※いずれかを選択
　①男　②女

設問9：年齢
　あなたの年齢をお教えください。
　※数値を入力
　( )歳

設問10：感想
　アンケート内容や調査内容などにつきまして、ご意見やご感想などありましたら、ご記入ください。
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　1．アンケート調査

　ネット友達とリアル友達に対する比較分析を行うため、その実態と意識を調査するためのアンケート調査を実施した。

　(1)ネット友達とリアル友達の境界

　ネット友達とリアル友達の判断は個人によってあいまいであるため、アンケート並びに本文では、ネット友達の最低限の定義を〝インターネット上で知り合った友達”と設定した。これは、インターネッを利用しなければ知り合えなかった友達、という条件である。

　(2)目的

　現実社会における友達の定義には個人差があり、同様にネット友達にも個人差がある。本アンケートでは、その個人がもつ定義の中において、ネット友達とリアル友達との関係性の実態や意識を調査し比較することで、その違いの有無と程度を確認することを目的としている。
　また、インターネットが普及し始めた頃に、個人がどの発達段階にあったかで差が生じることが予想されるため、世代間でどのように差があるかも検討する。

　(3)方法
　①予備調査

　2013年3月、質問項目の選定のため、9名（男性：5名、女性：4名）に予備調査をインターネット上で実施した。予備調査では18項目を用いたが、検討の結果、10項目を本調査に採用することとした。

　②本調査

　2013年5～7月、〝ネット友達がいる人”を対象者とし、インターネット上で本調査を実施した。本調査では、63名（男性：17名、女性：46名）分のデータを有効回答とした。回答者の構成については、表１のとおりである。

　③世代比較

　有効回答63名（10～57歳）について、インターネット人口が増加した1990年代後半の時代を基準として、
　　・小学生以下で好奇心旺盛な幼児期～児童期を過ごしていた「20代以下」
　　・感受性の高まる青年期を過ごしていた「30代」
　　・精神的にも経済的にも自立を果たしていく成人期を過ごしていた「40代以上」
の3つ世代間について比較検討を行う。
　回答者の世代構成については、表２のとおりである。また、世代間において明確な差が生じているかを検証するため、F検定を実施する。

※F検定・・・全回答者（母集団）における両者の関係に相関があるかを調べる。Ｆ値からp値を算出し、p値≦0.05であれば相関があると言える。強弱は分からない。
※相関関係・・・2つの値の関連性のこと。相関関係の種類に、正の相関、負の相関、無相関がある。（例：xが増加するとyも増加する傾向＝正の相関関係）

　(4)結果
　①ネット友達の数、ネット友達との交流
　設問2の「ネット友達の数」と設問3の「ネット友達との交流」については、個人間のネット友達の定義の違いにより、大きなバラツキが生じた（図１、図２）。

※図２はインターネットを介さずに直接会ったり、直接会話をしたりしたことのあるネット友達の数

　設問4の「ネット友達について」にて、簡易的にネット友達の定義について調査をしているが、その中にある「ネット友達には、ＳＮＳ等で友達を管理するリストに載っている人は全員含まれる。」にチェックありの回答者と、チェックなしの回答者との間で大きな差が生じた（表３）。

　②ネット友達について
　設問4の「ネット友達について」では、回答者に対してネット友達の定義を簡易的に質問している。この設問の目的は、設問2、3も同様であるが、このあとの設問の準備として、回答者自身にネット友達の定義について再認識してもらうことである。
　回答形式を複数回答とし、得られた結果は図３のとおりであった。

　設定した条件の中では、全体的に「ネット友達には、個人的な情報（氏名や年齢など）をあまり知らない人も含まれる。」という条件が高い確率で支持された。「その他」の定義としては、ゲームについて話したり助け合ったりする、SNSサイトによって友達の定義を使い分けしている、といった意見があった。

　③ネット友達とリアル友達について（実態調査）
　友達との関係性を把握するために5つの問いを設定し、「ネット友達・ややネット友達・変わらない・ややリアル友達・リアル友達」の5段階評価にて、ネット友達とリアル友達のどちらの傾向が強いか、その実態を調査した。

　1)全体

　この結果からネット友達には同じ趣味や関心を持つ人が非常に多いことが判明した。また、ネット友達の条件に関する項目では、「ネット友達には、個人的な情報（氏名や年齢など）をあまり知らない人も含まれる。」を全体の70％を超える人が支持したことから、氏名や顔、性格など個人情報をより多く知っているリアル友達の方がより信頼感を持てる友達として判断されたものと推測される。より親しい友達や共通する考え方や価値観をもつ友達がリアル友達に多いと支持された背景についても、そうした互いの個人情報を知る量が関係していると考えられる。普段交流が多い友達には、リアル友達と大差はなくネット友達の傾向が支持されているが、これはSNSサイトなどの普及によってネット友達が得られやすくなったとともに、昔のリアル友達ともつながりやすくなったためと考えられる。

　2)世代毎

　5項目の中では、「あなたと共通する趣味や関心をもつ友達はどちらに多いですか？」についてのみ、ネット友達の傾向が強く示されたが、他の4項目についてはリアル友達の傾向が強く示された。特に「あなたが信頼感を持てる友達はどちらに多いですか？」という項目については、ネット友達の傾向が極端に弱く示された。
　ネット友達の傾向について世代間の差を比較すると、20代以下の世代で最もその比率が高く、世代が上がるにつれて低くなっていることが分かる。この世代間の差には、リアル友達の数が大きく影響していると考えられる。30代と40代以上の世代は、リアル友達を獲得してきた期間が長く、20代以下の世代はリアル友達とネット友達がともにつくれる環境で育っているため、この世代間の差は当然のことと考えられる。

　20代以下では、共通する趣味や関心をもつ友達はネット友達の傾向が圧倒的に強くみられるが、現在の親しい友達や信頼感を持てる友達についてはリアル友達の傾向が強くみられること、他の世代と比較して共通する考え方や価値観をもつ友達にはネット友達の傾向が大変強くみられることが特徴的である。

　30代では、他の世代と比較して、現在親しい友達と普段交流の多い友達についてネット友達の傾向が強くなっており、共通する考え方や価値観をもつ友達、特に信頼感を持てる友達についてネット友達の傾向が大変弱いことが特徴的である。

　40代以上では、全体的にリアル友達の傾向が強く、特に現在の親しい友達についてはリアル友達の傾向が圧倒的に強く、また、信頼感が持てる友達についてはネット友達の傾向が全く見られなかったことが特徴的である。

　④ネット友達とリアル友達の比較（意識調査）
　ネット友達とリアル友達に対する心理的距離を確認するために7つの問いを設定し、「ネット友達・ややネット友達・変わらない・ややリアル友達・リアル友達」の5段階評価にて、ネット友達とリアル友達のどちらの傾向が強いか、その意識を調査した。

　1)全体

　この中では、親しい友達になりやすい、本音を話しやすい、好感を抱きやすい、の3項目についてはリアル友達の傾向がより強く支持されていた。これらの項目については、コミュニケーションの方法の差が関係していると考えられる。対面コミュニケーションでは表情や声音などの非言語メッセージから感情が伝わりやすく、インターネットコミュニケーションでは文章が主体であるため感情の理解は容易ではない。そのため、対面コミュニケーションを交わしたことのあるリアル友達の方がより親交を深めやすいと考えられる。

　その他の4項目については、ネット友達もリアル友達もあまり差はみられなかった。友達になりやすい、コミュニケーションを取りやすい、の2項目についてはインターネットの普及とコミュニケーションツールの進化によって、ネット友達ともリアル友達とも付き合いやすくなったことがその背景にあると考えられる。他の人には言いにくい悩みを相談しやすい、についてはリアル友達には信頼感があり、ネット友達には匿名性があることが影響していると考えられる。嫌悪感を抱きやすい、については「変わらない」という回答が多く得られたが、嫌悪感についてはネット友達に対してもリアル友達に対しても判断が慎重に行われるためと考えられる。また、他の人には言いにくい悩みを相談しやすい、の項目では「変わらない」という回答が少なくハッキリと分かれる回答が得られたが、他の6項目については「変わらない」とする回答が25％以上と高く支持された。

　2)世代毎

　ネット友達の傾向について世代間の差を比較すると、20代以下の世代で最も比率が高く、世代が上がるにつれて比率が低くなっているのは、友達になりやすい、親しい友達になりやすい、本音を話しやすい、の3項目のみであった。

　20代以下では、「ネット友達」の回答が他の世代と比較して多く、本音を話しやすい、他の人には言いにくい悩みを相談しやすい、好感を抱きやすい、の3項目についてはネット友達の傾向が強く、嫌悪感を抱きやすい、についてはリアル友達の傾向が強いことが大きな特徴である。20代以下の世代は第二次性徴や友達・家族関係、将来などについての不安や葛藤を抱えやすく、人には言いにくい悩みについては匿名性を維持できるネット友達の方に相談しやすいと感じるのではないかと考えられる。他の世代と比較して、好感を抱きやすい友達にネット友達の傾向が強いのは、そのような悩みの相談をしていることや匿名性の高いネット友達に対する警戒心の薄さが関係しているのではないかと考えられる。親しい友達になりやすい、の項目でネット友達の傾向が弱いことに関しても、ネット友達に対する匿名性の高さが要因の一つと考えられる。また、嫌悪感を抱きやすい、の項目でリアル友達の傾向が強いのは、対面コミュニケーションの非言語メッセージには表現に曖昧性があるため、経験の不足から誤解等が生じやすいためではないかとも考えられる。

　30代では、他の世代と比べるとバランスの取れた傾向を示している。この世代は学生時代にはリアル友達を、成人して物事に分別がつく頃にネット友達を増やしてきた影響が出ていると考えられる。「変わらない」の回答の比率が高く、嫌悪感を抱きやすい、の項目ではリアル友達の傾向が全くみられなかったのが特徴的である。好感を抱きやすい、の項目ではリアル友達の傾向が強く、嫌悪感を抱きやすい、の項目ではネット友達の傾向が強いのは、匿名性の高いネット友達に対する警戒心が影響している可能性が考えられる。

　40代以上では、「リアル友達」の回答が他の世代と比較して多く、コミュニケーションを取りやすい、嫌悪感を抱きやすい、の2項目以外ではネット友達の傾向がほとんど見られず、嫌悪感を抱きやすい、の項目についてはネット友達の傾向が強いことが特徴的である。40代以上の世代は他の世代よりもリアル友達の数が多く、匿名性の高いネット友達に対する警戒心が強いことが予測される。