要旨
本記事では、DATA Saber (データセイバー)認定制度※への挑戦を通じて得た学びや苦労、そして認定を目指す方へ役立つ情報をまとめました。DATA Saberは、Tableau公式資格ではないながらも、卓越したトップユーザー有志によって無償で支えられている実践的な学習と成長の場です。単に可視化ツールの技術を習得するだけでなく、データの見せ方や伝え方、ストーリーテリングに重点を置き、コミュニティを通じて仲間と切磋琢磨しながら成長できる点が大きな特徴となっています。
私自身がDATA Saber - Bridgeに参加した背景や動機、具体的な学習プロセスや課題への取り組みなどを振り返りながら、どのようにスキルを磨き、認定取得に至ったのかを詳細にご紹介します。「データを通じて世界を理解し、人々に伝え、行動を促す」というDATA Saberの理念を肌で感じた経験や、師匠・チームメンバーとの交流を通じて得た刺激、モチベーション維持の方法などもあわせて取り上げています。Tableauを使いこなしたい方、あるいはデータのストーリーテリング力を高めたい方にとって、DATA Saberへの挑戦は大きな飛躍の機会となるはずです。これから認定を目指す方の学習計画や心構えづくりに、本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
※DATA Saber 認定制度は、コミュニティを中心とした多彩な学び・実践の機会が得られ、認定取得者同士のネットワークを広げられる貴重な取り組みとして、多くの人に注目されています。
1.はじめに
私がDATA Saberに挑戦しようと思った理由は、Tableauの機能や使い方を学ぶだけでなく、データをどう伝えるか、そのストーリーを考える力を身につけたいと考えたからです。データ分析は単なる数値の整理ではなく、そこから有益な情報を引き出し、適切に伝えることで初めて価値を生み出します。そのため、データの解釈力やストーリーテリングのスキルを磨きたいと思いました。
また、私は大学のインスティテューショナル・リサーチ(IR)業務にもこの経験を活かしたいと考えています。IRでは、学生の学習成果や教育の質向上に向けたデータ分析が重要になりますが、その分析結果を分かりやすく伝え、関係者と適切に共有することが求められます。DATA Saberの挑戦を通じて、より効果的なデータの可視化や伝達手法を習得し、IR業務に活かしたいという思いがありました。
さらに、データ分析は一人で完結するものではなく、仲間と意見を交わしながら進めていくことが大切だと感じています。同じ志を持つ人たちとつながり、互いに学び合いながら成長する環境を求め、DATA Saberのコミュニティに参加することを決めました。
この挑戦を通じて、Tableauの技術力を高めるだけでなく、IR業務に活かせるデータのストーリーテリングを磨き、仲間と切磋琢磨しながら学ぶことを目標に取り組みました。
2.DATA Saber 認定制度について
DATA Saber 認定制度は、Tableauコミュニティから生まれた認定プログラムで、データを通じて世界を理解し、それを人々に伝え、行動を促す力を持つ人材を育成することを目的としています。
このプログラムでは、単なるデータ分析スキルの向上だけでなく、データドリブン文化を広めるリーダーシップを育むことが重要視されています。
2-1.DATA Saberのメリット
① データ分析スキルの向上
・Tableauを活用したデータ分析や可視化のスキルを深められる
・実践的な課題に取り組むことで、データの扱い方や表現力を磨ける
② データのストーリーテリング力の向上
・データの背景や意味を的確に捉え、相手に伝える力を養える
・視覚的な工夫を通じて、データをより分かりやすく、説得力のある形で表現できる
③ データドリブン文化の推進
・データの活用を意識し、より良い意思決定につなげる考え方を身につけられる
・データを分かりやすく伝えるスキルを磨き、周囲とのコミュニケーションに役立てられる
④ Tableauコミュニティとの繋がり
・同じ志を持つDATA Saberやデータ活用者と交流できる
・イベントやワークショップを通じて、最新の技術や知見を学べる
⑤ 特別な称号とロゴの付与
・認定されたDATA Saberは、称号とロゴを使用可能
・さらに、「2つ名」(オリジナルのニックネーム)を得る権利が与えられる
DATA Saberになることで、データの可視化や分析スキルの向上に加え、データを通じたストーリーテリング力を鍛え、より伝わるアウトプットを作ることができるようになります。また、同じ目標を持つ仲間との交流を通じて、新たな視点や知見を得ることができるのも大きな魅力です。
2-2.DATA Saber - Bridge
① 師匠とのマッチング支援
・周囲に師匠がいない場合でも、Bridgeを通じて適切な師匠を紹介してもらえる
・師匠については事務局側でのマッチング
② 学びを支える多彩なコンテンツと企画
・20名以上の師匠やサポーターが連携し、定例会や勉強会を開催
・各分野の専門家が、データ活用に役立つ知見を提供
③ 仲間と共に学べる環境
・数百名規模のApprenticeが参加し、互いに切磋琢磨できる
・師匠同士のつながりも強く、経験豊富なメンター陣から学べる
④ 挑戦のモチベーション維持
・目標を共有する仲間と交流することで、学習を継続しやすい
・師匠や他のApprenticeからのフィードバックを受けながらスキルアップできる
DATA Saber - Bridgeは、単なる学習サポートにとどまらず、データ活用のスキルを学びたい人々にとって、貴重な学習機会とコミュニティを提供する場となっています。
2-3.DATA Saber - BridgeとDATA Saberの違い
DATA Saber - Bridgeと(通常の)DATA Saberの違いは以下の通り。
表1 DATA Saber - BridgeとDATA Saberの違い
3.DATA Saber 認定取得のための要件
詳細:https://datasaber.world/index.html#certstandard
① 技術試験(Ordeal 1~10)の合格
・10個の技術試験(Ordeal 1~10)を受験し、すべて満点で合格する必要がある
・Tableauを活用したデータ可視化や分析のスキルが問われる
② コミュニティ活動でポイントを獲得
・パブリック活動(Tableau Publicなど)と組織内活動の両方でポイントを獲得する必要がある
・パブリック・組織内ポイントでそれぞれ20pt以上、合計で50ポイント以上が必要
各活動につき、最大30ptまで加算される
・活動例
-Tableau PublicへのViz投稿
-ブログ記事や技術解説の執筆
-社内やコミュニティでのイベント登壇・運営
-その他、データ活用を広める取り組み
③ 最終試験の合格
・上記の技術試験とコミュニティ活動の条件を満たした後、
・師匠との最終試験をクリアする必要がある
・これらの要件を3ヶ月以内にクリアすることで、正式にDATA Saberとして認定
4.DATA Saber - Bridge 3rd への挑戦
本来であれば、11月上旬のキックオフからスムーズに取り組む予定でしたが、私の場合は9~12月上旬にかけて「LLM大規模言語モデル講座(東京大学)」を受講しており、11月下旬にはLLMの最終課題に取り組んでいたため、DATA Saberの課題に本格的に取り組むのが遅れました。また、11月中旬には風邪を引いてしまい、1週間ほど体調を崩してしまったこともあり、スタートダッシュが難しい状況でした。
そのため、データ処理やソフトウェアの技能面の学習は後回しにし、負担を抑えながら進められる「コミュニティ活動」から着手することにしました。また、大学職員は後期(9~3月)が繁忙期(入試・学期末・卒業式の準備など)にあたり、仕事・家庭・学習を両立するための時間調整にも苦労しました。それでも、平日は21~23時、土日の午前中や夜に課題に取り組むことで、少しずつ進めていきました。
なお、最終試験前は、Ordeal 1~7に比べて8~10の難易度が高く、想像以上に時間がかかりました。
4-1. 参加を決めた理由
・自分の大学には、まだDATA Saberがいなかったため、師匠となってくれる教職員を見つけることが難しかった
・他大学の、日頃お世話になっている教員からDATA Saber - Bridgeへの参加を勧められた
4-2. プログラムの流れ
・9月下旬 :申し込み締め切り
・11月上旬 :師匠と弟子のマッチングが決定し、キックオフミーティング(オンライン)/Slackへ参加
・11月11日~:3ヶ月間の挑戦期間
・1月下旬 :最終試験受験
・2月上旬 :DATA Saberに認定
4-3. 師匠とチームメンバー
・師匠1名、弟子7名のチーム
・弟子のバックグラウンドは、営業・インフラ系SE・マーケティング調査・大学職員など様々
4-4. 技術試験(Ordeal)への挑戦(12~1月上旬)
・学習時間の目安
-動画教材の視聴:12~30時間
-ホワイトペーパーの閲覧:数時間
-Slackチャンネル内での勉強会参加:合計4~8時間
-自習時間:
*平日 1~2時間
*土日 3~6時間
*合計60時間以上
・学習方法
-公式の動画教材やホワイトペーパーを活用
-Slack内の勉強会に参加し、他のApprenticeと情報共有
-Ordeal 8~10の難易度が特に高く、思った以上に時間がかかった
4-5. コミュニティ活動の取り組み(11月中旬~下旬)
・パブリック活動
-Tableau Community Forumsでの質問回答:4週間以内に3本(合計2~4時間)
-Tableau PublicへのViz投稿:4週間以内に3本(合計2~4時間)
-Tableau関連のブログ記事の投稿:4週間以内に3本(合計3~6時間)
・組織内活動
-勉強会の開催:1回(1時間前後)
-オンラインコミュニティ運営:企画~調整まで約1~2週間
・振り返りポイント
-仕事が忙しい中でも、短時間で実施できる活動(フォーラム投稿・ブログ執筆)を優先した
-自分の学びをアウトプットすることで、結果的に理解が深まった
4-6. 最終試験への挑戦(1月下旬~2月上旬)
最終試験の内容についてはお伝えできませんが、以下のような準備を行いました。
・ 試験対策として行ったこと
-1月中旬~下旬:Ordeal 1~10を復習し、最終試験に備えた
-Ordeal 1~10の問題を、答えを見ずにスムーズに解答できるよう反復練習
-本番のために、自分なりに問題を作って自習
-データ処理やソフトウェアの操作スキルだけでなく、文章問題やストーリーテリングも意識して練習
・振り返りポイント
-Ordeal 1~7までは比較的スムーズに解けたが、8~10は難易度が高く、想像以上に時間を要した
-技術面だけでなく、データのストーリーを伝える力も試されると感じた
5. DATA Saber認定!達成したことと振り返り
5-1. 認定された瞬間の気持ち
11月のスタートダッシュに出遅れたこと(他の講座を受講、風邪による体調不良)もあり、特にOrdeal 8以降の課題には苦戦しました。途中でくじけそうになりましたが、諦めずに挑戦を続けたことで、なんとか2月上旬に正式にDATA Saberとして認定されました。認定証をいただいた瞬間、3ヶ月間の努力や苦労が思い出され、達成感と安堵の気持ちがこみ上げました。妻も喜んでくれ、支えて下さった方々への感謝の気持ちでいっぱいになりました。
5-2. 挑戦を通じて得たスキルや学び
今回のチャレンジを通じて、データ処理やソフトウェアの基本操作の習熟だけでなく、以下のスキルを身につけることができました。
・可視化の新たな表現手法
-今まで使っていなかった可視化の方法や、新たな技術を学ぶことができた
・データ分析のストーリーテリング
-ただグラフを作るのではなく、「どうすれば伝わるのか?」を意識し、説得力のある可視化を考える力が養われた
・効率的な学習とアウトプットの習慣
-技術試験・コミュニティ活動を並行して進める中で、学んだことを即アウトプットする重要性を実感
5-3. 今後の目標や、DATA Saberとしての活動予定
今後は、DATA Saberで習得したデータ処理・可視化・ストーリーテリングの手法を、大学の教学IRに応用していきたいと考えています。特に、学習成果の可視化、教学マネジメント、質保証、認証評価といった領域で、データ活用を推進し、より効果的なデータの利活用を目指します。
また、2025年2月時点では、大学教職員でDATA Saberに認定された人はまだ少ないのが現状です。この認定制度を通じて、大学業界におけるデータ活用の関心を高め、興味を持つ人を増やしていきたいと考えています。さらに、DATA Saberとしての活動も継続し、自分の業界とは異なる分野の方々とも交流を続けていきたいと思います。
5-4. 師匠とチームメンバーへの感謝
DATA Saber - Bridgeに参加したことで、同じ時期に多くのメンバーと共に挑戦できたことが、最後まで取り組めた大きな要因の一つでした。
・勉強会やチームミーティングを通じて学び合い、境遇を共有できたことが大きな励みになった
・師匠には、面談から最終試験の実施まで丁寧にご指導いただき、本当に感謝の気持ちでいっぱい
このコミュニティの存在がなければ、途中で挫折していたかもしれません。支えてくださった方々、本当にありがとうございました。
5-5. これからDATA Saberへの挑戦を考えている方へ
これからDATA Saberを目指す方に向けて、今回の経験を踏まえたアドバイスをまとめました。
① 時間の確保がポイント!
・教材(動画・文書)、技術課題(技能・文章問題)、コミュニティ活動(パブリック・組織内)に取り組む時間の確保
・特に12月末~1月第1週までに主要な課題を終わらせておくと、余裕を持って最終試験に臨める
② 師匠・チームメンバー・勉強会での交流が大切!
・技術面だけでなく、学習のモチベーション維持にもつながるので、コミュニケーションを積極的に取るのがおすすめ
・チームメンバーの視点を学ぶことで、自分の知識も広がる
③ Ordeal 1~10を完璧に解けるように!
・最終的には、Ordeal 1~10を答えを見ずに素早く解答できるようになることが理想
・各Ordealの要素を組み合わせて考えられるようにしておくと、本番でも応用が効く
6. おわりに
この3ヶ月間の挑戦を通じて、技術だけでなく、データを伝える力やコミュニティでの学びの大切さを実感しました。DATA Saberの認定はゴールではなく、今後の活動にどう活かしていくかが大事だと思っています。これからDATA Saberを目指す方にとって、本記事が少しでもご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
追記:
2025年2月末に、DATA Saber 卒業式の開催
卒業式の会場は、アイスバーグ(ウィーワーク)の1階で行われましたが、天井がとても高く、かなり広い空間で、そのスケールの大きさに圧倒されました。そして、多くの来場者が参加し、会場は熱気に包まれていました。チャレンジ期間中はオンラインミーティングが中心でしたが、今回はじめて対面でお会いする方々も多く、リアルなコミュニケーションを通じて、お互いの努力をねぎらい合いました。チーム内で記念写真も撮影でき、特別な思い出となりました。
また、素晴らしい師匠やチームメンバーに恵まれただけでなく、卒業式後もチーム内のつながりが継続し、新たに複数のチームが集まる「ファミリー」としての活動が始まる予定です。 認定後も、このつながりを活かしながら、DATA Saber としての学びや交流を深めていくことが、ますます楽しみになりました。
DATA Saber Bridge - 3rd 卒業式 概要
・日時:2025年2月28日(金)18:00~20:00
・場所:WeWork IceBerg(東京都渋谷区神宮前 6-12-18)
・内容:DATA Saber Bridge - 3rd 卒業式
式次第
①開式の辞
②株式会社セールスフォース・ジャパン様への御礼
③乾杯
④師匠チーム部屋ごとに、師匠からの認定書授与・チームでの歓談
⑤記念撮影(全体写真)
⑥表彰
⑦閉式の辞
2次会
・卒業式後には、2次会も開催されました。
様々な業界の方々と交流する貴重な機会となり、DATA Saber - Bridge 3rd にとどまらず、多岐にわたる話題について意見交換を行いました。 名刺交換もでき、今後のつながりを築く良い機会になりました。
こうして、卒業式を通じて多くの方々と交流し、楽しい時間を過ごすことができました。
図1 卒業式の会場(受付)
2025年2月、認定
Knight of DATA Saber 寺澤 岳生
(二つ名:Institutional Researcher)
(初稿:2025-02-11)
(追記:2025-03-07)

