結婚してから金曜の夜に出かける事など無かった。
そんなわけで現在住んでいるようなカントリーサイド(失礼)でも金曜の夜はお酒を飲んでふらふら歩く会社員もいるし、道はタクシーや代行の車で混むものなのだなと感心しながら主人にしては珍しい安全運転で移動した。パンツの中に破水で出て来る羊水を受け止めている2枚のナプキンが気になって仕方ない。
家を出る時に見たが、羊水(?)はほんのりピンク色でちょっと怖かった。
病院についたのは日が変わる30分程度前。5月初旬とはいえ、このあたりは暑い。昼間とは全く違う雰囲気の産院の建物を見上げると院長先生が窓を開けていた。一応挨拶をする「こんばんは~」
とりあえず診察室に通され、内診。羊水が出るのでちょっとおたおたする。
「よごしちゃっても大丈夫だから台にあがっちゃってね。」
いつもこの内診スペースの床ってなんでこんなぬれてもいいようなマットがひいてあるのかなと思っていたがこういう時の為なんだと理解した
「破水だな。逆子のままだから、とりあえず朝イチで帝王切開だな。もし陣痛がきたら夜中の3時だろうが帝王切開だ。旦那は家に帰ってよし。突然電話来てもいいように携帯横において寝ろよ。」
誰もいない大部屋に通された。お産が1件入っているらしい。ぼーっとしているとほぼ真向いに位置する分娩室から赤ちゃんの声が聞こえた。院内着に着替えて大きなお産用ナプキンを付け点滴を刺される。さらにNSTを付けられる。
不安と緊張で眠れない時々お腹が痛くなるし、これが強くなったらすぐに帝王切開かと思うと悶々とする。
携帯を見る気にもなれず、おまけに荷物のどこにあるのかわからないものを点滴&NST付きの自分が探せるとは思わず時々はうとうとしつつNSTの波をみていた。
1時か2時かその辺りで先程出産を終えた女性も大部屋に通されてきた。お産セットやらの説明をされて6人部屋の一番窓側のベッドに行ったようだった。ベッドは3個ずつの2列で別の列の通路側にいる私からすると一番遠いベッドという事になる。
このお方いきなり電話をかけだした。
お産という非常事態をどうしても知らせたい人がいたのだろう。
割とのんきにそう考えた私だけれど、何だか話している言葉がイタリア語っぽかったので少しびっくりした。確かに妊婦健診でも待合室には外国の方がちらほら。最近は本当に多いのだなと思う。としくんのPICUでも循環器病棟でも海外の方が同室や隣のベッドにいたことはある。
イタ子さん、話は尽きないようで大きめの声で盛り上がっていたので看護師さんに注意されてしまっていた。
対して私は私で夜中に熱が出たが眠気もおきなかった。
同室のイタ子さんは電話をかける時は病室を出る事を覚えて、朝からまた外で電話していた。やっぱりチャオとか言うのでイタリア語なのだろう。
お話好きなんだなぁ~。仕事以外必要が無いと電話をしない私はのんきにそう思っていた。
すでに帝王切開される前で非日常ど真ん中な私は特に気にもならなかったので大好きな映画Life Is Beautiful がエンドレスで流されているとでも思おうと考えていた。
変なフラグが立ったことには気づかなかったw
続きます。