久々に投稿すると思ったら、このタイトル…ちょっと配慮が足りないですかね。

 

先日の最高裁の判決、ちょっと気持ちがざわざわしました。

訴えの内容は、性同一性障害「心は女性、の身体男性」の方が、女性用トイレの使用を認めてほしいというもの。この前提として、職場は、違う階の女性用トイレの使用と、女子更衣室の使用は既に、他の職員も交えての話し合いの結果を踏まえて認めていたが、同じ階の女子トイレを使う権利を求めて訴えを起こしたもの。「同じ階の女子トイレ使用の権利」だけを追加で主張したかったのならば、認められるのはわかる。

ただし「この裁判・この案件」については、それが妥当な判決であったとしても、それを拡大解釈したり、自分たちの都合のいいように捻じ曲げてこの「最高裁が下した判例」を葵のご紋のごとくに振りかざす輩や、「もう女子トイレは怖くて行けない、いつ変質者が入ってくるかわからない」という被害妄想に陥る輩が少なからず出てきてしまうことが問題だ。

 

変質者が女子トイレや女子更衣室に立てこもって犯す犯罪は、トランスジェンダーを認めようと認めなかろうと、一定数いることで、逆に言えば、私たちが普通に生活する上で、大声をあげても誰も助けに来ないようなシチュエーションで女子トイレを使うことは、ほとんどないのではなかろうか…まずその点は少し落ち着いた方がいいかもしれない。ただ、これが、一般の更衣室や温泉、浴場にまで拡大解釈され始めると、のんびり言っていられなくなるだろう。その危険をはらんだ判例になりうると考えている。

 

さて、冒頭に書いた私のもやもや…

抗がん剤治療も後半に差し掛かると、髪は完全に抜け落ち頭はつるっぱげ、蓄積された薬の影響で(一般には、回を重ねるごとに薬の蓄積により、副作用が増幅されるといわれている)爪は真っ黒、血管はこりこり、吐き気とだるさで心身ともに疲弊していたころ。

治療中にトイレに行こうと、帽子をかぶるのを忘れて女子トイレに入ったところ、

「男性がいる」とどなたかが訴えたらしく、看護師がとんできたことがあった。

その時の私の様子は、Tシャツにスエットのズボン、胸のふくらみなし、感染症防止のためマスクで口が隠れ、そして…つるっぱげ! 

そりゃ、男性だと思われても仕方がない。看護師はすぐにわかってくれたが、「患者さんはみんな、敏感になっていますから、帽子はかぶってください」と注意を受けた。そもそも、男性と間違えられる以前に、私の姿は、これから抗がん剤治療をしようと不安を抱える患者にとって、闘病のなれの果てを見せつけることになってしまった、という意味でも、気を付けなければならなかったのだ。

 

いずれにしても…女子トイレとはそのくらいセンシティブなものである。

心身ともに女性である私ですら、他の女性の気持ちを考えると「申し訳なかった。いくら体がだるくても帽子くらいは付けなければ」と思う。女子トイレで男性を見かけたら、警戒するのが当然。そういう気持ちを理解できない人間、しかも性転換手術を受けていない人間を本当に「心は女性」と判断してよろしいのか…これからは「女性に見えるけどこの人は…?」と、本来しなくていい警戒までしなければならなくなる。

 

LGBTに関しては私なりに、気持ちはわからないにしても、理解しようと努力してきたが、逆に「女性差別は依然として残したままで、LGBTの方を先に進めるわけね」という「ひがみ」まで涌いてきてしまう。多かれ少なかれ、この判決は、この先暗い影と、さらなる分断を招くきっかけになるように思う。