「運動器の10年」世界運動 という運動が2000年から2010年にかけて全世界で行われています。

「運動器の10年」世界運動とは、運動器と運動の大切さを知らせ、ケガ・故障・病気を減らそうという世界運動で、WHOや世界各国の整形外科医を中心とした医師が協調して活動しています。

ちなみに運動器とは骨・関節・靭帯(じんたい)・筋肉・腱など、身体を支えたり動かしたりする器官の総称です。


その締めくくりとして、日本国内において同キャンペーンのさらなる周知徹底、世間一般からの注目を集めることを目的として、「障害者100人による日本縦断駅伝」という企画が実施されています。


沖縄から北海道までを、運動器に障害を持つ100人の方が、電動アシスト自転車や手こぎ自転車、車椅子などを利用してタスキをリレーするものです。



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これに各都道府県の整形外科医も伴走などのサポートに着きます。私も、自転車好きを知って下さっていた愛媛大学整形外科の山本教授から声をかけていただき、自転車で伴走する整形外科医として参加させていただくことになりました。



企画のリーダーは冒険家の風間深志さんです。


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風間さんはオートバイによる史上初の北極点・南極点到達、エベレスト挑戦時の世界最高高度記録など3つの世界記録を持つ方で、パリ・ダカールラリー日本人初参戦など、オートバイラリーのパイオニア的存在のようです。ご自身も数年前にラリー中の事故で脚を傷められています。




さて、2月21日に沖縄でスタートして九州を渡ったタスキが、2月28日の朝、愛媛県にやって来ました。



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 愛媛県のコースは松山観光港から多々良大橋までの約80km。ここを5人の障害者の方がリレーするのに合わせ、我々伴走医師も5人で分担しました。私の担当は松山観光港から北条・夏目のパルティー・フジまで。


 はじめて電動アシスト自転車(主催者側から準備されたヤマハのクロスバイクタイプのもの)に乗りましたが、ペダルを踏むと少し遅れて後ろから何かに押されている感じ。これなら上り坂でも楽ちんですが、正直楽ちん過ぎてちょっと物足らないくらいです。外見も以前からあったママチャリとは違い、なかなかの物。



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 9時に観光港を出発。リーダーの風間さん、新居浜から来られた下肢切断後のMさん、私の順に並び、海岸線を気持ちよく走って堀江で196号バイパスへ坂を登っていきます。登りでは電動アシストの本領発揮でぐんぐん登っていきます。でもすぐ前を走っているMさんはえらいしんどそう。「あれ?」 と思い見てみると、やはり電動アシストのスイッチが入っていませんでした。もう少し早く気付いてあげれば良かったです。



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 その後は3人で快適に中継地点まで。無事に終了して第2走者の方にタスキを渡し、記念写真を撮って、家内も迎えに来てくれていることを確認。そろそろ帰り支度をしていると・・・


風間さん「走り足りましたか?」

私「また帰って子供たちとトレーニングします。」

風間さん「じゃあ予備の自転車があるので最後まで一緒に行きませんか。」



迎えに来てくれていた家内には申し訳なかったのですが、そのまま多々良大橋まで一緒に走らせてもらいました。



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それにしてもこの日は天気が良く、走っていて気持ちよかったです。風間さんや事務所のスタッフの方も、しまなみ海道ははじめてだったそうで、景色に感動されていました。



リーダーの風間さんは気さくで純粋な方で、楽しく話しながら走れました。ただ、障害者の方に度々声をかけておられましたし、手こぎ自転車(一番上の写真)の方の伴走のときには、手こぎ自転車の後ろをやや右に寄って走っていたのは(手こぎ自転車の高さが低く車から見えにくいからその盾になっておられたのだと思いますが)「さすが!」と思いました。



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今回障害を持った方々の頑張りを見ることができ、勉強になったし、元気をもらいました。

愛媛県は事故もなく無事終了しましたので、この先も天候に恵まれ、事故なく無事にタスキが北海道まで渡ることを祈っています。