患者さんの痛みには大いに共感してみる。


歯医者さんに来院される患者さんは基本的には何かお口の中にトラブルを抱えている。

特に、痛い!

と言ってこられる方が多い。

基本的に日本人は自分の病気自慢や怪我自慢をする傾向がある。

例えば、

「おれの最高血圧は200くらいだ!」

と自慢げに言ってる人もいれば

大昔に交通事故でできた傷をわざわざ見せてきて

当時の事故の状況をこと細かく言ってくる。

一回だけならまだしも何回も聞いた内容をまた聞かせてくる人もいる。

だから、痛んで来られたり、腫れて来られたりすれば

ちょっとオーバー気味に共感してみる。

たとえば、

「○○さん、これは痛かったですよね。」

「もう仕事どころではなかったんじゃないですか?」とか

「○○さん、これはしんどかったですよね。」

「よく今まで我慢されてましたね。」など・・・

そうすると、なぜかニヤッとしている方が多い。

そして「そうなんですよ~、昨日の夜もね、ナンタラカンタラでね・・・」

と問診しなくても患者さんからいろいろお話していただける。

ちょっと前にも’ミュンヒハウゼン症候群’

というのがニュースで話題になったことがある。

たぶん皆さんも記憶に残っている方も多いと思う。

要は自分で自分の体に傷を付けたりとかわざと病気になって

周りの人たちに同情してもらおうとする心の病だ。

これは大なり小なり誰でも持っている感情だと思う。

人はだれでも傷を見せたがるし、

傷がなければつくったりすることもある。

とくに手術をしたりすると事細かに説明してきたりするものだ。

だから、心の中では

「大して痛まないのに痛い痛いと大げさだな~」と思っていても、

患者さんよりもすこしオーバー気味に共感してみせる。

仮に、オーバーに共感しても患者さんは

「ん?そこまでは痛くないんだけど・・・」

と言われることもある。

そういう場合は、

「そうですか~、じゃあ○○さんは痛みに強いんですね」とか、

「○○さんは我慢強いんですね」と言われれば、

そんな感じなのかな~?と思ってしまうものだ。

痛みにも強くないし、我慢強くない患者さんに対してそんなことを言って大丈夫だろうか?

と思っている方もいらっしゃると思うが

大丈夫です!!

基本的にどんな人でも間違っていても

「あなたは我慢強い」とか

「痛みに耐えることができる」と言われても

あまり気は悪くならない。

むしろ良い気がする。

なぜならば、「○○さんは我慢強いんですね」と言うと

違う場合はたいていニヤーっとして

「わたしは痛みには弱くて痛がりなんですけどね~」という。

自分では否定しながらも結構うれしい人が多いみたいだ。

十中八九はまず、大げさに共感すると分かってもらえたと思って喜ぶ

残りの1割~2割程度の人は「そんなことないですよ~」と言って喜ぶ

結局はなんにしても喜んでもらえるのでぜひ患者さんには大いに共感してもらいたい。

それだけで患者さんの痛みを分かってもらえる歯医者さんになれるからだ。