「向瀧」での食事は、
立派な客室があるのだけれど、
専用の食事処で。

まあ、あれだけ階段が続いていると、
仲居さんも大変だろうし、
よりいっそう贅沢な気分になれるから、
食事処を使うのは大賛成。


部屋に入ると、銘々膳。


ふたつの膳にはそそるものが並んでいる。


箸袋には宿の全景が描かれていた。


用意されていた「おしながき」。


開いてみると、
なじみのない食材や料理名がたくさんあって、
いやがうえにも食い気が増す。

翌日の朝食にも同じような「おしながき」があって、
コピーだとしても、いちいち手書きしてるのかと思い、
感心したことを仲居さんに言ったら、
こういうフォントがあるんだって。笑

ってところで、「向瀧」の夕食スタート!


先付は、盆地長葱の鰹掛け。

葱の甘みを楽しむ素朴な料理に、
こちららしさがあふれていた。


秋の味覚勢ぞろいの前菜。
(うかがった時期は秋だった)


向付は、磐梯鱒のお刺身。

サクラマスや琵琶ますのように、
最近は成長した鱒を出してくれるところが多い。
で、それが総じてうまい。
もちろん、これも!


伝承の一品と名付けられた、鯉の甘煮。

江戸時代、会津藩のころから、
鯉の甘煮が一番のもてなし料理だったとか。
こってり甘辛い味付けで身がしまった鯉は、
全然クセなどない。
ご飯はもちろん、日本酒にもピッタリ。


ちなみに日本酒はこちらをいただいた。

さすが、会津の酒はうまい!!


強肴は、にしんのさんしょう漬け。

これまた会津の名物料理だそうで、
酒の進むこと!


焼物は朴葉焼き。

赤い南蛮(唐辛子)がきいてて、
これまた飯も酒も進む味。


お凌ぎは、ほくほくお芋と会津古代米。


進肴は、福島酵母牛の姫すてーき。

ほんの少しの銘柄牛がいいアクセント。


そして、煮物は「こづゆ」。

これまた会津の伝統的な料理。

なんでも干し貝柱でだしをとるそうで、
上品で味わい深いおつゆに、
たくさんの具がなじんでいて、
くせになりそうなほど。

ちなみに、伝統的な郷土料理の
鯉の甘煮、にしんのさんしょう漬け、こづゆは、
いずれも赤い会津塗の器ってのがいい。


揚物は、鯉の揚げ出し。

淡白な鯉の味わいが楽しめる逸品。


そして、ご飯と味噌汁、香の物。

会津のコシヒカリもうまいんだね。


最後はりんごのジュレがけで、
おしゃれにしめくくり。

会津若松らしさを反映した、
郷土料理の数々をいただいて、
旅の醍醐味は、
その土地ならではの料理を味わうことだと、
改めて強く感じた次第。

見事な夕食でした。

ちなみに朝食も感動的。




見事の一語。

「向瀧」はすべてにわたって高水準で、
心からくつろぐことができる宿でした。