「向瀧」の客室には、
中庭を見下ろすもったいないような風景があった。


ガラス戸も手すりも、
リアルなアンティークと言っていい。

冬枯れの庭が美しいと思えるのだから、
春夏はいかに。

ちなみに冬の間は一面銀世界になり、
庭のそこかしこに行灯がともされ、
それはそれはロマンチック。


小雪のちらつく表を眺めながら、
こたつでヌクヌクってのも贅沢な気分。


床の間のしつらいもさすが。

で、加湿空気清浄器や湯沸かしポットもあり、
過ごしやすさもバッチリ。
宿泊者にとってはこの辺の加減が重要。

さすがだ。


勾配がある地形だから、
廊下の窓からの眺めも絵になる。

目に映るものすべてに日本の美を感じ、
旅館のよさを感じながら、温泉へ。


「きつね湯」は会津東山温泉を代表する古湯。


洗面台が大理石ってのがすごい。


50℃近い熱い湯だと聞いていたので、
心して入ってみたら、
確かに熱いけど、全然しんどくはない。

通常、50℃もあると肌にチクチクとした
痛みを感じるものだが、
あれは塩素入りの水道水だから。

ここの温泉はほとんど刺激がなく、
熱いながらも肌にダメージを感じない。
それでいて、すぐに温まるので、
寒さに冷えた体が軽く感じられる。

会津藩主にも気に入られ、
武士たちが疲れを癒やしたという、
上等の温泉というのを身をもって知った。

最近、あちこちに表れてきた
神経痛に悩まされているので、
「きつねの湯」が恋しくてたまらない。


こちらは男性用大浴場。

大理石のレリーフが飾られてるところに、
時代を感じるけれど、
当時はさぞや贅沢なものだったのだろう。
ここの湯も最高だった。

つづく