冬が始まったころ、
島根県松江市にうかがう機会があった。

松江市と言えば松平不昧公。
茶道をベースにした文化が盛んな城下町だ。

雅なイメージの強いところなのだが、
名物はなんと、おでん。

おでんを出す店の数が多く、
普通とはちょっと違った趣向が楽しめるとか。

そんな話を聞いた夜、
ちょっと遅めの夕食をとるために、
ホテルの近くにあった「かねやす」という店へ。

店先には宴会が終わったと思われる、
会社のグループと思しき人たち。

予約などしてなかったけれど、
これなら席が埋まってる心配はない。

暖簾をくぐると、大きなカウンターがあり、
奥は小上がりになっている模様。

客もまばらなカウンターに腰かけると、
目の前におでんメニューが掲げられている。


お通しのイカの煮つけに舌鼓を打ちながら、
おでんを注文するが、軒並みソールドアウト。

カウンターの中で注文を取ってくれたのは、
大女将と思しき、かわいらしいおばあちゃま。
曰く、宴会客が全部食べちゃった。

席は空いてたけど、食材まで空けてたとは・・・。


かろうじて残っていた豆腐と練り物に、
なぜか春菊がついている。
なんでも、松江のおでんには付き物らしい。
おでんって、緑黄色野菜が不足気味だけど、
これなら万全。
なるほど、松江のおでんはいい!


魚料理の看板を掲げているだけに、
刺身はさすが。
(これまたソールドアウトが多かったが)


で、この魚、なんだっけ?
揚げ物好きのオレは骨までバリバリ。

速い時間に来るべきだったと思ったが、
どれも十分満足のいく味わいだった。


しめのおにぎりは岩のりも香ばしく、
ご飯もうまい。


お会計をお願いしたら、
おばあちゃまがお薄を点ててくれた。
お茶が盛んな町ならではのもてなしに、
改めて旅情を感じることができた。

松江のおでん、うまかったです。