正午に予約しておいた料亭「花月」へ。
長崎といえば卓袱料理。
とりあえず食ってみなきゃと思ってたんだけど、
どちらも2人からの予約となっていて、ひとりじゃ無理。
そんな中、「花月」にはお昼に、
卓袱料理を詰め合わせた「花御前」というのがあって、
こちらも完全予約制で受け付けているとのこと。
ひとり旅にはありがたいサービスだ。
立派な門構えを前にして、
ショートパンツにスニーカーの自分の服装が、
非常に場違いなことを思い知らされ、
ちょっとたじろぐ。
名を告げると係りの仲居さんがまず、
屋敷内を案内してくれた。
料亭にかかわりの深い名士お歴々の
お宝を展示したコーナーも設けられていて、
さながら博物館のよう。
「花月」の詳しいことはコチラをご覧あれ。
http://www.ryoutei-kagetsu.co.jp/main.html
それから案内されたのは、
ひとりなのにちゃんとした座敷。
卓にはすでに「花御前」が用意されている。
赤い塗りの卓が、花街らしい華やぎだ。
ふたを開けると、目にもうまそうな料理が。
ここで仲居さんが、
「おかっつぁまを呼んできますね」。
間もなくお出ましになったのが、
玄関口で迎えてくれた女将さん。
とてもとても上品で丁寧なご挨拶をいただき、
恐縮しながらも、
心地よくなっている自分に気づいた。
さすがに名料亭の女将だ。
そして「御鰭(おひれ)をどうぞ」とおっしゃる。
これが卓袱料理のスタートの合図で、
最初にお椀をいただくのだそうだ。
「御鰭」というのは鯛を1匹丸ごと使って
お客様をもてなしますよ、という意味らしい。
さて、卓袱料理の味はというと、期待以上!!
実は前夜うかがった居酒屋「海彦」のご主人が、
最近料理長がかわって格段にうまくなった、
と教えてくれてたから安心していたのだが、
これは期待以上。
日本、中国、オランダの料理の
いいとこどりのような卓袱料理だが、
こちらの料理は非常に洗練されている。
御飯はしょうがの炊き込みご飯。
枝豆の彩も美しく、うまい!!
お代わりもでき、そのタイミングが抜群。
ズッキーニとじゃこ(!)と茄子漬け。
これがまた意外な味わいで感心。
デザートは抹茶のパンナコッタ。
新しく料理長になったのはおそらく若い人だろう。
卓袱料理は初めてなのだが、
新しい試みに満ちていて、
それが創作的でなくちゃんとまとまっていて、
ひとりなのに食事が楽しくて仕方ない。
最後にお汁粉でしめるのが流儀なのだそう。
これまた、さらりとしていて甘さもふくよかで、
後口さっぱり。
お座敷をひとりで占領し、
仲居さんが事細かに世話をしてくれて、
本当にいうことなし!
食後、お部屋で会計をすませた後、
おかっつぁまは玄関先のお見送りにも来てくれた。
安い客なのに、申し訳ない。
そして、「いいお客様においでいただき、
本当にありがたいことでした」と。
お世辞とわかっていても、悪い気はしない。
仲居さんは門の先まで見送ってくれた。
行き届いているとはこのことだ。
これで¥5200ってのは、超お得だ!
長崎市のまた違った一面に触れることができ、
贅沢かつおいしい思いができるんだから。
「花月」に来たことで、
丸山がいかに華やかな場所だったのか、
よくわかったような気がした。