長崎市で最も有名な場所は
長崎港を見下ろす好立地の山手にある
「グラバー園」といって差支えないだろう。
開国して間もない長崎を訪れ、
類まれな商才で成功をおさめたイギリス人、
トーマス・グラバーが住んでいた、
日本で最初の木造西洋建築であった邸宅をはじめ、
長崎で富を蓄えたイギリス人たちの屋敷が点在。
大浦天主堂の悲しみとは無縁の、
贅沢で豊かな時代の空気が漂っている。
なんたって、山手の上まで、エスカレーターと
動く歩道が完備されていて、
のんびりゆったり昇っていけるんだから。
でも、これが大失敗。
湿気ムンムンで不快指数100%の日で、
自然におおわれた場所だったから、
蚊に刺されて、痒かったのなんのって。
山頂部にあるのは旧三菱第2ドックハウス。
外国船の乗組員のための休憩所、
宿泊所として利用されていたものを移築したもの。
下へ降りると誰かがたたずんでいる。
説明書きを見てみたら、プッチーニさん。
オペラ「マダム・バタフライ」の作者だ。
そっか、蝶々さんのモデルは、
グラバーの妻・ツルさんだっけ。
プッチーニさんが見つめていた像は三浦環。
世界中で蝶々さんを演じて絶賛された
日本が誇るプリマドンナだ。
これは、別にこの場所がそうってわけじゃなく、
長崎市が、ってことらしい。
この辺りはオープンエアのカフェテラスなんだけど、
今にも大雨が降りそうな天気のせいで無人。
あまりに蒸し暑かったので、「旧自由亭」で休憩。
これまた日本初の本格的西洋料理店で、
当時っぽく造られているらしい。
ご覧のとおり、天気のせいで客はオレひとり。
旧グラバー住宅が描かれたカップとカステラ。
「長崎堂」のものだというカステラの甘さが、
ちょっと疲れた体に染み込んでいくようで、
めっちゃリフレッシュ。
こちらはウォーカーさんの旧宅。
玄関から長崎港を望む素晴らしいロケーション。
異国情緒というより、まさしく異国。
長崎市の重層的な歴史に舌を巻く。
で、ここが旧グラバー住宅のエントランス。
長崎市で最初に成功した英国商人、
トーマス・グラバーの栄光の日々が刻まれた場所だ。
ちなみに彼は「キリンビール」生みの親でもある。
家具は輸入したにしても、
大工さんは日本人だったはず。
おそらく写真や絵を手本に造ったのだろうが、
大工さんってすごいな。
開国した日本の良き時代の象徴かな。
大浦天主堂と目と鼻の先なのに、
彼我の差はなんとしたものか。