宇奈月温泉は山間の峡谷にあるのだが、
流通の発達して現在は、
氷見漁港からキトキトの魚介類だって、
新鮮なまますぐ届く程の距離感。

その上、山菜をはじめ、
滋味豊かな野菜などの山の幸もあり、
ここまで充実した温泉地もそうそうない。

ってことで、待望の夕食!


まずは山の幸と海の幸のコラボ。


見事な塗の椀の蓋を取ると、
上品なだしの香りがふわっと立ち上る。

ホタテの真丈がまた得も言われぬ味わい。

吸い地は飲み終えたところで完成するように
味を調えるのが基本だといわれるが、
これがまさにそれ。

聞けば料理長はまだ若いらしく、
ご主人がいろいろな店や宿に連れて行って、
味やもてなしを学ばせていると聞いた。

料理長は実に朴訥とした人柄で、
海綿体のように吸収している最中のよう。
まだまだ伸びしろがありそうだ。


お造りは氷見のエビ(名前忘れた)にホタルイカ。

氷見ではシロエビとかガスエビとか、
よそで流通していないエビがたくさんとれて、
どれを食ってもうまい。
このエビの名前は失念したが、
もっちりとした食感と濃厚な甘みは絶品。
ホタルイカも生ってのがうれしい。


お造りにはこの3種類の手塩皿が用意されていた。

生醤油とだし醤油、そして右のいり酒。

いり酒ってのは日本酒に梅干しを入れて
アルコールを飛ばした、
醤油よりも前からある調味料。

それぞれ好みの味で召し上がれってことで、
ちょっとしたテイスティングの楽しみも味わえた。


煮物はちょっと治部煮風。

食材の味わいがストレートに伝わってくる。


「ベニズワイですが」と仲居さん。

ズワイガニが最上とされる日本海側では、
ベニズワイが一段低いものとされているようだ。
だけど、なんのなんの。
夢中になるくらいうまかった。


ここで山菜とホタルイカの天ぷら。

ちょこっとくせのある味わいが痛快。


地のブランド牛はさっとしゃぶしゃぶで。

これがまたあっさりしていて、重さゼロ。


焼き物も山間のアクセント付き。

そこかしこに山間の個性を加えられていて、
食事とともに黒部の山間にいることが実感されていく。


ご飯も味噌汁も漬物もいうことなし!

※順番は違ってるかも。

改めて見直してみると、
素晴らしい食材がちりばめられている。

だけど、実際に食事しているときには、
そんなこれ見よがしなところは全然なく、
いただいてみて目を丸くするって感じ。


さらに、ご主人が近隣の小さな酒造所をまわり、
みずから選んでそろえた地酒もいい。

そんなこんなんの塩梅に、
この宿のセンスを垣間見た気がした。


朝食も頑張りすぎたところはなく、
ひとつひとつ丁寧につくられている。

いろんな意味で過不足がない。

「延樂」って実はすごい宿じゃないかな。