雪に迎えられた冬の嵐山。


一輪の山茶花があたたかい待合室。


大堰川をのぼって(くだって?)旅館へ。


船着き場に一番近い客室に投宿。


嵐山の景観に抱かれているような居間。


片側に床の間。


寝室はベッドタイプ。


窓際のソファがこの部屋で一番気持ちいい場所。


ふたつの部屋をつなぐ廊下に本物を見た。


黒一色の浴室に木の浴槽。

非常に落ち着いてるし快いのだが、
ここだけ世界が違いすぎてて戸惑いも。


この坂を上った左側が食事処。

新しく迎えた料理長はヨーロッパで修業し、
ミシュランの星ももらったという意欲的な人。
和の会席の中に面白い爆弾を仕掛けてくる。


たとえばこれは、
車海老と蒸し鮑のサラダ メリメロ仕立て

和食とはかけ離れたものだけど、
日本酒とよく合うからOK。
生野菜がたくさん使われてて、
味も気分もフレッシュ&リフレッシュ。


椀物の、京人参のポタージュ 日の出仕立て

和が勝った折衷具合の これぞ「ミソ・スープ」!


強肴の牡丹鍋

丹波の猪のうまさを堪能!
つか、山の中の宿なんだから、
こういう野趣のある料理が合ってると思った。

ちなみに、先付け、八寸、焼物、炊合せは、
純日本料理。
しめは炊き込みご飯か手打ち蕎麦。

カウンター席でいただいていると、
目の前で黙々と蕎麦打ちする姿が見られる。
担当スタッフはここがオープンするにあたって、
修業を始めたと聞いていたが、
はるかに腕をあげてるし、
細打ちの麺は香りも歯ごたえも◎。


夜も冷え込んだけど、
酒と美食で腹いっぱいだったおかげか、
床暖房が心地よかったおかげか、
寒さを感じることなく熟睡し、朝を迎えた。


で、朝食は客室で。


窓の向こうは横殴りの雪。


季節の野菜鍋を中心にした朝食。

雪を見ながら鍋をつつくなんて、
朝っぱらから贅沢なひと時だ。

この朝食、大好き。

夕食時にも感じたことなんだけど、
山の中の宿なんだから、
雅で恭しいもてなしはどこか違和感。
素朴な野趣を感じるもののほうが、
気持ちに合ってるし、ずっと落ち着く。

鍋と食事のひとそろいをセットしたら、
あとはセルフ。
このほったらかし具合もここにお似合い。

鍋は上品なだしのきいたつゆに、
季節の野菜のほかに、
京都ならではのうまい豆腐と揚げ。
最後は雑炊まで楽しめる。

ご飯や漬物も滋味にあふれ、
体の中から清められていくような感覚。

ごちそうさまでした。


最後は「聞香」を体験。
これがまた興味深くて、重畳。


仕事とはいえ、この上なくいい時間でした。