駅伝はやっぱり面白い。

個々の力とは別の「流れ」が影響して、
結果を大きく左右するところは、
駅伝ならではの魅力だろう。

元日のニューイヤー駅伝もそうだったけど、 
実力以上のものを発揮する選手もいれば、
そうでない選手もいて、順位は変わってくる。

お正月の楽しみである箱根駅伝の往路は、
東洋大学が流れをモノにして、
あらゆる記録を塗り替えるほどの完全勝利。

新年早々清々しい、見事な勝利だった。

しかし、勝者がいれば敗者がいるのが世の理。
敗者の方がよりドラマチックに映ることも、
駅伝ならでは。

往路最終区である5区山登りは、
柏原選手が多大なる期待に応えたが、
その一方で、東京農業大学の津野浩大選手は、
何かアクシデントに見舞われたようで、
「とぼとぼ」と形容したほうがいいようなテンポで、
最下位を懸命に走っていた。

結局放送時間内にゴールできなかったけど、
津野選手の名前は放送中、
柏原選手よりも誰よりも多く呼ばれたに違いない。

それもフルネームで。

沿道に押し寄せたおびただしい数の、
TVに映ることが目的なのか、
柏原選手の写メを撮るのが目的なのか、
よくわからない人々も、
津野選手の通過を待っていたことが紹介された。

観衆は純粋に駅伝の応援をするために
集っていたのがよくわかったし、
あの声援には選手も励まされたことだろう。

勝者と敗者の物語は、
紹介されていないところでもたくさんあったはず。
そんな中で、敗者に肩入れしたくなるのは、
オレだけじゃないようだ。

長距離選手の成長にとって、
箱根駅伝の存在が疑問視される部分もあるが、
観る側の意見として箱根駅伝は興味深く面白い。

ただ走って、襷をつなぐだけなのに、
それにかけた人の思いの深さが、
個人を磨き、他者にも影響を及ぼし、
勝負を左右するのだから。

箱根駅伝に純粋にかけてきた若者たちが
己の目標に向かって懸命に駆ける姿は、
神々しくもあり、神事のような趣さえ感じられる。

明日の復路も楽しみだ。