山間の一軒宿「悠離庵」の夕食は、
なんと部屋でいただくシステム。
離れ中心の宿とか、今風の別邸タイプは、
たいがい厨房の近くに食事処を設けていて、
専用の部屋でいただくシステムを取っている。
それは、客のプライバシーを守るために、
できる限り部屋には立ち入らないためであり、
できたての料理をタイミングよく提供するため。
より細やかなもてなしをするために
そういうシステムを取っているということだ。
だけど、実際のところは、
人件費削減の側面が大きいと思う。
部屋出しの食事は人手が要るし、
それなりの人材をそろえなければならない。
その点、食事処で集中管理すると、
人員はかなり削ることができる。
確かに、食事処には食事処の魅力がある。
だけど、部屋でのんびり酒飲んでメシ食って、
腹いっぱいになったらゴロリと横になるってのは、
旅館ならではの醍醐味。
しかし、「悠離庵」は谷間にあるので坂が多く、
この日は特に風雨が激しくて、
部屋まで運ぶのが大変じゃないかと気になったりして。
そんな心配をよそに夕食がスタート。
南九州の味覚が揃っててホッとなごむ。
この菜の花は、入り口に咲いてたヤツ?
あっさりとした薄味仕上げになってて、
地鶏や根菜の味がストレートに伝わってきた。
こういうのをいただくと、
その土地柄を感じられてうれしくなる。
蒸し鮑と古代米。
古代米は演出としてありだと思うけど、
指宿は海が近いんだから当然か。
食べ方はしゃぶしゃぶで決まりでしょ。
いやぁ~、さすがにうまかった。
黒豚自体がうまかっただけでなく、
自家製ゴマダレとポン酢、両方とも秀逸!
この鍋は、黒豚と薩摩牛、ブリから
1種類選ぶシステム。
牛とブリも食べたかったな……。
この2品がどうも記憶になくて……。
地元の芋焼酎をいただいて、
いい感じになってたからな……。
思い出したら追記します。
こうやって改めて見直してみると、
炊き立てってのはつやが違うね。
しかし、なぜしば漬け?
運ぶことの大変さを心配したが、
調理場から離れまで車で運び、
部屋の玄関で盛り付けをやっていた。
さすがに一品ずつ出されるわけじゃなかったけど、
鍋物とか釜飯とか、
その場で出来上がるものをおりまぜた献立は
なかなか見事なもの。
で、食材の持ち味を大切にしながら、
郷土食の特性を生かした料理の味もお見事!
そして、食ってすぐに横になれる幸せを感じまくった。