｢御宿 竹林亭｣ が見事なのは、
建物しつらえのみならず、料理も。
今どきの食事処での夕食ではなく、
部屋でいただくというのが、今更のように新鮮。
最初に出てきたのがコレ。
有明海の珍味｢ワラスボ｣と｢ムツゴロウ｣の佃煮。
見た目に決して麗しいものじゃないけど、
滅多に口にすることのできない食材。
気分が盛り上がったのは言うまでもない。
この日はのっけから日本酒。
ひょうたん型の徳利は注ぐときに｢トクトク｣と音がして縁起もいい。
有田焼ってのはキレイなだけじゃなく、薄くて口当たりがいいのも重畳なんだね。
前菜で数の子の松前漬が出てくるところなんか、
気取りがなさが感じられるし、実際美味いし。
さあ、これから本番。
お造りは伊勢えびとなんだっけ……。
ちょっと前になるから覚えてないけど、ハンパな美味さじゃなかった事だけは覚えてる。
お椀は菊花に見立てた貝柱と菊菜に松茸。
芳醇な出しの香りと控えめな味わいの吸い地が、秋の趣でいっそう上等に。
湯葉巻上げにヨーグルトソースをかけた意欲作は、
いただく前は不安だったけど、まさに杞憂。板長、いいセンスしてる。
で、さば寿司はでき立てのバッテラという感じで、
フレッシュでジューシー！！(マジに)
えびで巻いた中に茶碗蒸し。見た目の美しさばかりじゃなくて味も見事。
その後には炙ったクモコとマイタケ。
クリーミーなクモコがあっさりいただけて、香ばしさが残る逸品。
サラダは、どうかなと思ったけれど、
野菜自体が美味くて、ドレッシングも程よくて、いい意味で裏切られた。
で、メインはもちろん佐賀牛。
焼き加減も絶妙で豊かな味わいがはじけそうなほど。佐賀牛はさすがに別格。
味噌汁には伊勢えびの頭入り。
いつも言ってるけど、伊勢えびはこうやって食うのが一番美味い。
ご飯がうまかったから、漬物の味わいまで違うように感じて、
ついついお代わりなんかしたりして……。
デザートは白玉ぜんざいと豆乳のブラマンジェ(だったっけ？)。
最後まで、和食を基本としながら少しだけ洋の手法を加えた献立が楽しめた。
本当に美味しゅうございました。
翌朝も郷土の味わいが中心。
程よい量で、器がきれいだから見た目は華やか。
で、またしても朝からご飯をお代わりした。
それだけ美味かったということで。