「石亭」を訪れたのは、やはり仕事で。


その仕事が終わったのは夜の8時半。


通常、旅館ってところは板場の都合もあって、

あまり遅い時間からの夕食は受け付けていないものだ。


8時半というのは、たぶんもうギリギリの時間。

だから、スタッフの方に申し訳なくて、

「遅くなってしまったので、全部まとめて出してください」

とお願いした。


そしたら、スタッフの方はこともなげな表情で、

「せっかくですから、お風呂で汗を流して来てください」。


風呂に入ってからだとメシのスタートは9時すぎちゃうのに、

そこまでの対応をしてくれたのは、「石亭」が初めて!!

(そんなに遅くなったことがないから実はわからないけど)


お言葉に甘えて、大浴場で温泉を満喫!


部屋にはきっと料理が並んでるものと思ってたら、

通常と同じような状態で夕食が始まった。



食前酒と先付け。

小鉢をクローズアップすると、

瀬戸内名産の夜鳴き貝(マジうま)と、ウニと玉子豆腐。

最初からハートを鷲掴みって感じの、完璧なスタートダッシュ。


石焼きという献立。

石造りの器ごとオーブン焼きしたもので、

左が丸鯵とブロッコリーのタルタルソース。
右が鱧と白ダツ(ずいき)の梅肉餡。

どちらも目を見張るできばえ。


吸物は鱧づくし。

この時季ならではの器も美しく、上品な吸い地はうっとりするほど。


お造りは、やはり瀬戸内名物の虎魚(オコゼ)。

ウ、ウ、ウメェ~~!!!


続く煮物は、またまた瀬戸内名物の穴子。

モンクなしの味わいに、骨の唐揚げがいいアクセント。

ここで今度は焼き八寸。

オリジナリティあふれる献立で、マジ桃源郷。蛍を描いた取り皿も秀逸。

酒が進むこと進むこと、と言いながら、

この日いただいてたのは、

料理長おすすめの国産白ワイン。

詳しくないので、銘柄のことはわからん。



箸休めは糸瓜酒盗和え

こいつがまた白ワインと合うんだ。


さっきのお造りのオコゼの骨が唐揚げで登場!

こういうの、オレ大好き!!!


強肴は瀬戸内のメバルの煮付け

尾頭付きだけど、わりと小ぶりだったんで、

ぺろりと平らげた。


てか、もういい加減満腹気味。



酢の物は蒸し鮑に肝酢ゼリーに……。

アッサリとした口当たりで、これまたペロリ。

食事は穴子茶漬

最後まで趣向に富んでて、一瞬も飽きさせることのない献立は見事の一語。


水物として二色わらび餅と枇杷の薄蜜煮

右に添えられてるのは、この宿の名物「銀つば」。

これがまた、爽やかな甘さの逸品。


さらに、アイスクリーム

この辺りでかなり酔ってたので、

フレーバーは失念したけど、美味かった。


献立を改めて見直してみると、

ありがちな銘柄肉が入ってない。


肉なしでも十分に贅沢で多彩だったから、

全然気がつかなかった。


調理場の矜持を見たような気がするし、

「石亭」のもてなしの徹底ぶりを再確認できた。


食事が終わったのは11時過ぎ。

板場の方、スタッフの方々、

本当にありがとうございました。



「石亭」 、見事なり!