3年前の12月に大分県日田に訪れた。
毎年2~3月に行われる
「天領日田のおひなまつり」 の取材のために。
今年も2月15日から3月31日まで開催されるので、
その様子をちょこっとだけリポート。
ところで、雑誌の取材ってのは先取りが基本。
3月号に掲載しようと思うと、
12月中に撮影しないといけない。
だから、4月号に桜を掲載しようと思うと、
撮影・取材は1月中に終わらなければならない。
そのために、1年前に撮影を済ませる場合もあるけど、
多くの場合は直前の取材となる。
月刊誌の仕事をやってると、季節の先取りの連続で、
いざ季節本番がやってきても実感がない。
ファッション雑誌だと、もう春~夏の服の撮影の時期だから、
外でロケを行う場合、モデルは大変!
ま、8月にコートの撮影やるよりいいけど、
モデルってのは大変なハードワークで頭が下がる。
で、取材先の日田は大分県の内陸部。
江戸時代は天領として栄え、
九州の富が集中して、九州の金庫と言われたほど。
昔から博多が九州でいちばん栄えてたと思ってたけど、
実は日田が中心地だったなんて、知らなかった。
なんせ、福岡県出身のクセに日田は初めてだったし。
日田は現在、景観保存地区になっていて、
町並みは昔のまんまの雰囲気が保たれている。
いわば、街全体が昭和レトロ。
町並みを撮影してるところに自転車で通りかかった、
地元の女子中学生たちがオレたちに向かって、
口々に「こんにちは!」と言って過ぎていく。
今どき都会ではありえないことだ。
そんなところにも昭和レトロ感がタップリ。
泊まったのは「ホテル風早」
。
評判のいい宿だと市役所の人が手配してくれた。
確かに、現代と昔が違和感なく調和してて、
居住性がよく旅情も味わえる。
夕食は併設のレストランか街中の店で。
朝は民宿っぽい、温かい手作りの朝食。
京都っぽい片泊まりの宿だ。
しかし、朝食、美味かったなぁ~。
予約が取りにくいそうだけど、
さもありなん。
そうそう、日田は焼きそばも名物らしい。
地元の人に連れて行ってもらったのは「想夫恋 」
。
ここは、生麺を茹で、
茹で上がったらそのまま鉄板に乗せて、
両面がこんがり焼けたところでモヤシをどっさり乗せ、
バラバラに炒めほぐしてから
醤油ベースのソースで味付けする。
これが、いい感じに香ばしくて、唸りまくる!!
蔵を改装してつくられたステーキ茶寮「和くら」
も、
味はもちろん、内装のセンスなど、
すごいハイクオリティ。
そういや、蔵を改装した蕎麦屋にも行ったけど名前失念。
ここも、めっちゃいい感じだったな……。
(酔って連れて行かれたのでうろ覚え)
昔からいいものを取り入れてきた地区だから、
今もいろんな意味でセンスいいんだろうな。
で、肝心の「ひなまつり」。
昔、隆盛を誇った日田にはいくつもの豪商があり、
当時の金持ちは京都の人形司に直接出向いて、
初節句のために飛び切りの雛人形を買い揃えていた。
そんな雛人形が各家で大切に保存されていたことから、
町興しの一環として、
雛人形の展示公開を思い立ったのだとか。
そのアイディアにまず賛同した「草野本家」。
御殿雛と呼ばれる大掛かりなものから、
数々の人形を大々的に展示公開したら、
以後、徐々に公開する家や観光客が増加。
それがNHKで紹介されたことで観光客が急激に増え、
今日の盛会に至ったのだとか。
これは、師走の忙しいときに
撮影用にわざわざ用意していただいた、
「ヤマキチ後藤家」のもの。
初めての日田は、町並みの人情も温かくて、
寒さを忘れさせてくれた。
実際の展示を見ることはできなかったけれど、
2~3月の日田は「おひなまつり」に独特の
甘やかで懐かしい空気が満ちているに違いない。