今年の初仕事は1月前半に行った温泉宿取材。
校了も終わったことだし、そろそろ解禁とするか。
場所は鹿児島県・霧島温泉。
鹿児島空港から車で20分ぐらいのところ。
訪れたのは、霧島温泉「ふたり静」。
一昨年オープンした、離れのみの温泉宿だ。
国立公園内にあるために標識が小さく、
駐車場からの入り口もわかりにくい。
それも、隠れ宿感が高まっていいかも。
石段を登ったところに、入り口発見!
紅殻風の赤い壁と黒板が歓待してくれてる感じ。
建物は飛騨の古材や建具と、
新建材とが上手く組み合わせられていて、
今どき流行りの感覚なんだけど、
取材したのは最上級の離れ、「はなの音」。
おまけに岩盤浴の部屋まで!!
こりゃあ、温泉好きにはたまらない!!
ちなみにオレが泊まった部屋は、和な外観ながら中は洋室仕様。
設備や居住性もなかなかのもの。
で、やっぱり、風呂がいっぱい!
(「はなの音」以外は岩盤浴ではなくサウナつき)
離れをつなぐ小道が縫う庭は、
いわゆる「庭園」って感じではなく、
自然がそのまま放置されてる感じ。
でも、掃除は程よく行き届いている様子で、
緊張感を強いることなく、寛がせてくれる。
庭の樹木に目を凝らしていたら、
金柑ぐらいの大きさの柿がビッシリついた木が。
こんな木がひょっこり現れるところなんか、
面白い仕掛けだ。
さらに、小高い位置には貸切の展望露天風呂。
霧島連峰までは見えないけど、
稜線が遠くに見える風景は見事なもの。
ちなみに、霧島温泉の泉質は、
ほのかに硫黄の香りがする単純硫黄泉。
その香りに、いかにも温泉らしい風情があって、
肌に優しい温泉だ。
だから、夕食前、夕食後、就寝前と温泉三昧!
おかげで、湯あたりしちゃって、
寝付けなくて困ったけど。
食事は基本的に食事処で。
こちらの料理長は支配人も兼ねていて、
食をいかに提供するかという観点から、
宿が構成されているという側面もある。
フレンチが専門だった料理長は、
和と洋の魅力を融合することを旨としていて、
夕食はお決まりの旅館料理という感じではない。
では、順番に。
まずは食前酒の梅酒。
続いて、オードブル5種が次々に。
お造り・サラダ仕立て。
ネタはトロ、かんぱち、ぼたん海老、うに。
それが小さな丼仕立てになっているなんて、
和の人にはない発想。
きのこの洋風マリネ。
創作寿司。
〆クラゲにあんきもソースがかかったにぎりは、
シャクシャクとおした歯ごたえと、
濃厚なソースが相まって、かなりなもの。
タラ白子の炙り焼き。
茶碗蒸し。
具には牡蠣のすり流しが入ってて、
やわらかいのにコクがある。
稲庭うどん。
ゴマダレがからまってて、
冷たいパスタのような感覚。
網焼きステーキ。
地元、鹿児島県産黒毛和牛を使用。
サッパリとした味わいに感心。
ごはん。
秋刀魚の薩摩煮のだし茶漬。
奄美の鶏飯っぽいイメージ。
ちなみに、薩摩煮とは、
日本酒の代わりに焼酎を用いて煮たものだとか。
デセール。
ついでに翌日の朝食。
さつま揚げがメインの程よい量。
朝はかなり和食。
全体に、和と洋をいい具合にミックスさせていて、
かなりレベルは高いと感じた。
味付けは鹿児島的な甘さはなく、
郷土色を抑えた全国標準タイプ。
それをよしとするか、不満に思うかは、
泊まった人の目的や感覚によるだろう。
オレとしては、もっと土地らしさを感じたかったけど、
和牛や薩摩煮などで、そこそこ味わえたからOK。
たとえば、近くにある「雅叙苑」は、
それこそ鹿児島色満載といった食事内容で、
受け付けられないって人もいる。
万人に受けるなんて不可能なことだから、
今はまだ試行錯誤してるところかな?
どう変化していくのか、非常に興味がある。
宿泊しての感想は、
離れで構成されているからか、
いい意味でほっとかれてる感じ。
それは、霧島のおおらかな自然に通じるような、
のんびりした雰囲気に満ちていた。
玄関の前にはシイタケ栽培のホダ木があった。
部屋には茶香炉。
鹿児島は実はお茶どころ。
それに気づかせてくれるいいアイディアだ。
最初、自販機や売店がなくて不安だったけど、
そんなことは全然関係なし。
ゆったり寛げて、満足度は非常に高かった。
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