さて今日は保育士さんや先生、保護者の方からよく聞く
悩みの一つについて考えてみたいと思います。
「“切り替え”が悪くて…」
一度遊びはじめるとなかなかやめられない…
みんなと一緒に集団活動に参加できない…
ご飯の支度ができても食べに来ない…
声をかけても全く聞いていない…
周りの大人からすると切実な問題ですよね。
そして、よく対応方法について質問されるのですが
一言で答えられるものではありません。
一人ひとりその理由が異なり
それによって対応の仕方が変わってくるのです。
最近の療育場面でも似たような場面がありました。
療育が終わる時間になっても帰ろうとせず
「嫌だー」と泣きそうになりながら抵抗しています。
かかわっていた若い職員は、一生懸命言い聞かせ、
なんとか帰らせようとしていました。
その様子を見て思ったことがあります。
この子が帰れないのは切り替えが悪いからでしょうか?
この子の気持ちを代弁してみると
「もっと遊びたい…」
「遊ぶのが楽しい…」
つまり、
まだ気持ち(感情)が満たされていないのです。
それが「切り替えられない」という現象として
現れているだけなのです。
大切なのはその気持ちを満たしてあげること。
帰ることを言い聞かせる(説得する)のではなく、
納得できるように満たしてあげることです。
納得すれば人は必ず動くのです。
大人の都合で動かそうとしていないでしょうか?
このように書くと「甘やかしている」と
思われる方もいらっしゃるかもしれません。
僕の経験からすると、
しっかりと気持ちを受け止めたやりとりをすることで
動き出すまでの時間が短くなっていきます。
こちらからの申し出をスムーズに受け入れたり、
こちらの事情でどうしても動いてもらわなければ
ならないときにはスッと従ってくれたりするように
徐々に変わっていきます。
自分の小さいときのことを考えたときに
いつも一方的に口出ししたり注意したりする
大人のことを「うるさいなー」と思ったことは
ありませんか?
そんなときに自分の話を聞いてくれる大人がいると
「おっこの人はなんか違うぞ」
と思ったことはないでしょうか?
自分のことを理解してくれる人、
理解しようとしてくれる人の言うことは
子どもたちも聞こうとしてくれるのです。
ここまでは子どもの視点で書いてみましたが、
今度はかかわる大人の視点で考えてみましょう。
帰るように言い聞かせようとしても
子どもが思うように動いてくれないときって
だんだんイライラしてきませんか?
「帰る⇔帰らない」のやりとりが続くと
自分も子どももイライラしてくるし、
結局時間だけがどんどん過ぎていき、
エネルギーを消耗してむなしくなる。
建設的なやりとりになっていないのを
感じたことがあるのではないかと思います。
だったら自分自身のストレスを減らすために
ちょっと視点を変えてみてはどうでしょう?
子どもは何を見ている?
子どもは今何を感じている?
子どもは今どんな気持ち?
ちょっと子どもの目線に立ってみましょう。
そして、できる範囲で子どもの気持ちを
いったん受け止めてみましょう。
すべてを受け入れる必要はありません。
まず先にこちらから歩み寄って
気持ちを聞いてあげるのです。
仮にそれをやってすぐに成果が出ないとしても
今以上に関係がこじれることはありません。
子どもの目線に立って気持ちを受け止めることは
もちろん子どものためではあるのですが、
実はかかわる側にとってのメリットも
たくさんあります。
そのメリットとは…
○不毛なエネルギーを消費しないですむ
→ 時間がかかることよりも心理的な疲労の方が
その後の動きに悪影響を与える可能性があります
○子どもがお母さんのことを好きになる
→ 不要なストレスを子どもにかけないので
安心感と信頼関係の構築につながります
○切り替えにかかる時間が短くなってくる
→ 可能なときは保障してもらえる安心感から
切り替えにかかる時間が徐々に短くなってきます
○子どもへの理解が進む
→ 次に同じような場面に遭遇したときに
余裕をもって対応することができたり
予測をたてることができるようになります
お母さんを困らせたいと思っている子は一人もいません。
もしそう感じるとしたら、困らせたいのではなく
別の得たい感情が子どもにはあるのかもしれません。
最後に今回の記事のまとめです。
○“切り替え”られないのは状態に過ぎない
○一人ひとりそのときそのときに理由がある
○子どもの感情にフォーカスして考えてみよう
○人は説得しても動かない、納得すれば動く
○子どもの目線に立つことによる大人のメリットも大きい
長文になってしまいましたが、
最後までお付合いくださりありがとうございます。
子どもの行動の理由や気持ちを考える際の
ちょっとしたコツについては
また別の記事でご紹介させていただきます。
