書店員が売り続けたい名著を紹介!


今回は、

『注文の多すぎる患者たち』

ロマン・ピッツィ

ハーパーコリンズ・ジャパン

 

 カンガルーを捕まえたり、サメに麻酔をかけたりするにはどうしたらいいのか?  
病気の診断をするために、ガラパゴスゾウガメの体の中を覗くにはどうすればいいのか? 
タランチュラの整形外科手術はどうして突飛なのか?
セイウチの歯痛はどうやって治療するのか?

 この本を読めば、僕たち野生動物の獣医が、地球上の実にバラエティ豊かな野生動物に麻酔をかけ、診断し、手術し、投薬し、最後に野生に帰すまでの様子を垣間見ることができる。
(本文より抜粋)


とにかく多種多様な哺乳類、鳥類、爬虫、両生類、魚類の名前とそれぞれの動物等の治療方法や手術方法などが書かれています。

病気や傷ついた動物を沢山治していますが、本文中には著者自身や他の獣医師が治療を間違えたり手術方法の誤りや手術対象の特性など把握できずに死なせた動物も書かれています。


 彼ら野生動物(野生でなくとも)はなんといっても人間の言葉が話せない。そのため傷ついたり体調の悪そうな動物にかける麻酔にまつわる話や、手術のやり方、絶滅危惧種に対する課題、野生動物保護の裏にある不正などの現実。動物に対する外科手術や麻酔についても興味深い。

 

 麻酔だけでなく、薬の投与、骨折の治療、治療のための捕獲の仕方、動物によって本当に様々だ。

人間だって、患者によって状況も治療方法も、薬の投与量もちがうのだ。

さらに、動物によって異なる生態。人間と同様の診断方法はできない動物たち。心臓の形も大きさも違う。脳の形も違う。骨格も違う。歯科治療も行う獣医さん。


1人の獣医が、これだけたくさんの動物を見るのかと思うと、もう、すごいなとしか言いようがない。めまいがする。

知らないことを知ることって、

すごくエキサイティングだ。


でも、本当のところ、野性の命に人間が手を加えるってどうなんだ?という疑問もある。

人間は愚かで身勝手だ。それに間違いはないが、

人間が放置したゴミ、プラスチック、毒物などで傷つき命を落とす野生動物は後を絶たず、人間による開発によって、住む場所を失われてしまった、環境が大きく変化してしまった動物たちがいる。彼らを見殺しにはできない。

これも人間なんだ。やはり勝手だなと思うが、否定しようとは思わない。世界をよくしようと思い、行動している人がいる。それは素晴らしいことと思う。

世界に、自分の知らないところで、こんなことが起きている。確かにある現実を知ることは、とても大事なことと思う。

そうした意味でもおすすめです。

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