書店員がおすすめする売り続けたい名著の紹介

 

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『ストーナー』

ジョン・ウィリアムズ

東江一紀・訳

作品社

 

自分の人生にもどこか通ずるものがあるかもしれない。

平凡?いやいや、これが人生というものなんだろう。

経験ではなく、感情の部分。

 

大学での自身の研究に突き進む力強いところ

家族と関係に思い悩むところ

同僚との確執など

大チャレンジをしたり、大事件があるわけではない。劇的な展開はない。

それは市井を生きる私たちと何も変わらない。

しかし感情が、どうしようもなく共感や悲しみを誘う。

 

こうしていれば・ああしていればと思うことは山ほどあるかもしれない。

でも、それは、過ぎてから感じること。

その場での選択は、正解も間違いもない。最善の策を採ったと思っていたはず。

 

この悲しみはどこかで感じたはずなんだ。

そんな感覚を覚え、読み進めていくと、

ああ、これは自分の物語だ、だからどこかで感じた感情という

感覚があったんだ。

自身をストーナーに重ねるから、いつの間にか応援しているし

共感も増す。

 

訳は、とにかく、素晴らしい。

溜息が出るほど美しく、静謐で愛の溢れる訳文。

 

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