039 長者湯 2015.11.7 | 京都銭湯巡り〜You & Me OK?〜湯浴み桶

京都銭湯巡り〜You & Me OK?〜湯浴み桶

京都市内に現存する庶民の味方「町のお風呂屋さん」を巡って紹介します。ぜひ温まって下さい。

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つい先日、必要に迫られ還暦について
調べました。

何故、還暦60歳なのでしょうか?

私も来年に還暦を迎える身として、
そのくらい知っておかないと胸を張って
赤いチャンチャンコが着れません。

十二(じっかんじゅうに
所謂干支えとの組合せにありました。

この十二の最小公倍数の六十
暦が一回り、即ち 還暦となります。
もう少し詳しくいうと、十二支とは
子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥ですね。

十干は一二支に比べて馴染み薄ですが、
きのえ  きのと  丙ひのえ  丁ひのと
つちのえ  つちのと  かのえ  辛かのと
みずのえ  癸みずのと の十干。

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この十干は木 火 土 金 水(もく、か、ど、ごん、すい)の五行にそれぞれ陰陽二つずつ配したもので、は語尾に「え」を付け、は「と」をつけます。つまり=きのえ=つちのととなります。
今年の干支は乙未きのとひつじ ですが、このの組合せは60年に一回しか周ってきません。これを陰陽五行思想といいます。

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元々この思想は中国伝来のものですが、
日本独特の陰陽道に発展を遂げ、それに携わる者を陰陽師おんみょうじと呼びました。
最も有名な陰陽師といえば安倍晴明。

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                       安倍晴明公像

一条戻橋の近くには安倍晴明を祀った
晴明神社があります。

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  一の鳥居と千利休居士聚楽屋敷趾の碑(下)
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千利休の屋敷も近くにあったようですね。
映画「陰陽師」以来観光客が増えています。

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        晴明井                    厄除桃

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樹齢三百年、御神木の楠。

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  観光客で賑わう本殿

この神社は安倍晴明の住居跡らしいです。
安倍晴明を祀った神社は各地に幾つかあるようで、大阪阿倍野には生誕の地であることから安倍晴明神社が、ナゴヤドームの近くには名古屋晴明神社などがあるようです。

この晴明神社からほど近いところにあるのが本日のお風呂屋さん 長者湯です。

上長者町通と松屋町通の角にあります。

上長者町通は烏丸通から千本通近くまでの東西の通りですが、文字通りその昔 両替商などの富裕層が住んでいたといいます。
松屋町通は同名の大阪の松屋町は「まっちゃまち」と発音しますが、京都は普通に「まつやちょう」です。

実は私がお邪魔した時は随分日が暮れておりましたので、このお風呂屋さんの特長的な写真が撮れませんでした。後日あらためて行った時の写真と合わせて、陰陽師になった心算ででご紹介しましょう。

目印はこの煙突です。

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今でも薪で沸かしているようです。この向かいに5~6台の駐車場があるのですが、長者湯の駐車場は南端の一台だけのようで、既に先客のクルマが駐められいます。とりあえず空いてるスペースに駐車してコインパーキングの場所を訊くことにしましょう。

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左.)陽が落ちて暗闇に光る電照看板
右.)改めて陽の高い時に来てみると
塀越しの松が雰囲気を醸し出してます。

白山 湯の花温泉とありますが
きっと石川県のご出身なんでしょうね。

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立派な唐破風屋根です!

陰↓暗くて屋根瓦が見えませんが、
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陽↓明るい時に来てみると、
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なんと別注 名入りの鬼瓦です!
これだけでワクワクします。

まずはコインパーキングの場所を訊くために暖簾をくぐりましょう。

下足箱の奥行きがなく、斜めにしても入らないのはご愛嬌、靴を揃えて入場します。

番台には綺麗な奥さまが座っておられます。この番台がちょっと変わっています。脱衣場に向かって座るのが普通ですが、ここの番台は入口を向いてます。番台・フロント折衷型ですね。

クルマで来たのだか駐車場が空いていない旨を伝えると、携帯電話でおそらくご主人に自宅の駐車場が駐められるかどうかを確認され、やっぱり空いていないとなると、懇切丁寧に且つ申し訳なさそうにコインパーキングの場所を教えて頂きました。

さて、クルマを駐めて脱衣場に再入場。
脱衣場だけでも値打ちがあります。

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普段目にすることのない柳行李
木とガラスのレトロな脱衣ロッカー

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石灯籠のある前栽は風情があります。

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目を見張るタイル絵…
金閣寺を描いたものですが、いわゆるモザイク画ではありません。大きめのタイルに描かれています。

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格天井と、なによりも感心したのが
透かし彫りの欄間!

こだわりを感じさせる脱衣場の空間美…
溜め息が出ます。映画「舞妓Haaaaan!!!」のロケ地になったのも頷けます。

もう充分堪能しましたが、やっぱりお湯にも浸かりましょう。

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右側手間には小さめ目の水風呂があります。
主浴槽は浅風呂からジェット→
座りジェットと続きます。

深風呂にはうたせ湯にしては低い位置からではありますが、とうとうと湯が注いでいます。井戸水を薪で沸かしているせいか、心なしかお湯が柔らかな気がします。

奥の薬湯は酵素配合の白濁湯です。
こりゃなんとも気持ちがよろしい。

洗い場は15サウナ電気風呂もありませんが、狭いながらも手入れが行き届いており清潔感があって、ホントに気持ちのよい銭湯ですね。

風呂から上がると番台は奥さんから、これまた人柄の良さそうなご主人に代わっておられました。
  「お車でお越し頂いたんですね。
    駐車場が空いてなくてすいません」

奥さんからの申し送りがされているらしく、ご夫婦の連携プレーが素晴らしいですね。

「いつから営業されているんですか」
「大正6年ですから百年近いですね」
「タイル絵が素晴らしいですね」
「名古屋の職人さんに描いてもらいました」
「また欄間がよろしいね」
「作ってもらって22~23年になります」

ご主人も奥さんも素敵なお二人でした。
裏表のない、いやのないご夫婦です。


一言で表すと…気持ちのよい銭湯


金持ちだけが長者ではない
そんな長者にならずとも
しい気持ち長者になればよい





【長者湯】
京都市上京区上長者町通松屋町西入須浜東町450