㊟成均館スキャンダルのパラレルです。
本筋とは全く関係ありません。
ソンジュンの目下の気がかりはたった一つ。
合鍵はいつもらえるんだろう。
卒業パーティのエスコート権が
棚ボタ式に手の中に落ちてきた今、
ソンジュンはユニの新居のことで頭が一杯だ。
日々の己のやるべきことは
きちんとこなしている。
試験もすべてトップで通り、
担当のチョン教授の補佐をし、
進路の相談も済ませたソンジュン。
2月に入り、大学入試が始まって、
大学へ行くことがないこの時期に、
ソンジュンの思考がユニへと向かうのは
仕方がないだろう。
毎日会えそうなものだが、
以外にもユニの方が忙しかった。
就職予定の幼稚園での研修があるのだ。
2月月初に5日間。
3月中旬に5日間。
バイトもあり、ユニは忙しそうだ。
毎日交わす電話での会話は甘い恋人のもの。
おかげでソンジュンは眠れない。
ユニの声を聞くと思い描いてしまうのだ。
あの美しい姿を。
ソンジュンに抱かれた女のユニを。
会いに行けばいいんだよ。
あのシラノみたいに、
窓の下で愛の言葉を囁けばいいんだ。
グズグズしてないで行動に移せよな、イ・ソンジュン!
分かってるよ!
でもユニさんは疲れて帰ってきてるだろ?
毎日俺の電話に付き合ってくれてるだけでも
良しとしないと。
何言ってんだ!
電話の後に悶々とベッドに転がっているくせに!
行って、ユニさんの顔を見て、
我慢できなくなったら窓から引きずり出して
車に連れ込んで攫ってしまえよ!
そそそそんな乱暴なことしたら、
ユニさんに嫌われるじゃないか!
俺は紳士だぞ、そんな見境のない行動を
するなんて・・・出来やしない!
だからお前はダメなんだよ!
もう身も心もいただいちまったんだろ?!
お前の煩悩につきあわせるぐらいの強引さを
示しておけよな、イ・ソンジュン!
日曜日に会ったばかり。
たった三日ほど会えないだけでこの体たらく。
確かに日曜日にはユニは抱けなかったソンジュン。
図書館で会って、お互いの本を選んで、
寄り添ってそれを読み、
人目を盗んでキスを交わし、
お茶を飲みながら午後を過ごした二人。
ドレスの色は薄紅色だって言ってたな。
じゃあ、俺が持っているタキシードで行けるな。
薄紅色に合う花を用意しよう。
どんなドレスだろう。
何を着ても、ユニさんはかわいいだろうなあ。
もうすぐやってくるバレンタイン。
少しだけ段取りになれたソンジュンは、
レストランの予約はすでに済ませてある。
もちろんスンドリの協力の下。
ただ、勝手にアメリカ式で、
男性側からの愛の告白の日にしようと決めているのは
ソンジュンだけで、ユニは知らないこと。
もしかして、チョコレートとか用意してくれるのかな。
ユニさんから、14日に会いましょう❤なんて
誘ってくれるかな。
そんなことを考えて、まだユニは誘っていない。
半分不安で、半分期待に満ちた想いは、
またソンジュンを眠らせてくれない。
『あのね、ユンシクと土曜日に家電を買いに行くことにしたの。
やっぱり土曜の方が、時間を気にしないで
ゆっくり回れるからって・・・。』
そうなんだ、と返したソンジュンに、
ユニは頼みごとをした。
『日曜日にね、家具を買いたいの・・・。
ユンシクったらね、教授に頼んで、
新聞社の懸賞のはがきの仕分けのバイトを
紹介してもらったんだって。
それで日曜日から三日間、半日その仕事。
家具はお任せ~、なんて言うのよ。でも・・・』
ユニがどんな顔をしているかわかる。
きらめく瞳でソンジュンを見上げているはず。
電話の向こうで。
『一人で行くのは心細いの。
相談しながら買いたいもの・・・。
ソンジュンさん、一緒に行ってほしいの・・・。』
ああ、その瞳には勝てないんだよ!
「行くに決まってるよ。
心配しないで。」
うれしい、ありがとうソンジュンさん!
切れたスマホをつくづく眺める。
ユニさんが飛び出してこないかな、などと
ばかばかしい考えが浮かぶ自分に苦笑する。
ダメだ。
たぶん今日の夢は、俺を見上げるユニさんだ。
スマホを充電器につないで、
ソンジュンは長々と溜息をついた。
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