映画「椿山課長の七日間」
ずっと見逃していた、ケーブルTVの日本映画専門チャンネルで放送中のこの作品、ようやく観ることができた~親子の絆に泣かされるハートフルコメディ~
死後4日間はどうしていたのか分からないが、気付くとそこは天国と地獄の中間にあるという中陰役所、死んでも死に切れないものは初七日までの3日間だけ現世に戻れるという・・・デパート勤務中に倒れた椿山課長(西田敏行)は和山椿(伊東美咲)、ヤクザの武田(綿引勝彦)は竹内弘実(成宮寛貴)、実の親を知らない少年の雄一(伊藤大翔)は蓮子(志田未来)、正体を明かさないことを条件に役人(和久井映見)から許された3人はそれぞれの思いを胸に、ゆかりの人を訪ねる。
現世に戻って知る事実というのが激しい、椿山の父(桂小金治)妻(渡辺典子)息子(須賀健太)、そして職場での不倫相手だった知子(余貴美子)のこと・・・知らないことは罪なのか、愚かなのか、真実は死ぬまで知らないほうがいいのか、自分の不倫はともかく(?)、自分の息子だと思っていたのが実は妻の不倫相手の子だったなんて、そんなことを知ったらとても耐えられないだろう・・・泣かされるのは親子の情愛、幼い子供に"産んでくれてありがとう"なんて言われたら、たまりませんね、そう、何度も親子の絆に泣かされるのに、クライマックスには上司と部下による不倫の情愛をもってきちゃってるので、やや物語に違和感を感じてしまうけど、泣かせるし面白い映画には違いない、最後には天国への長い長い階段が待っていた。
映画「マンマ・ミーア!」
原題:Mamma Mia!
そう、I have a dream.といってもキング牧師の演説ではない、ABBAの22曲のなかでもオープニングを飾る曲、映画の中のその夢は父親とのバージンロード~
明日はソフィ(アマンダ・セイフライド)とスカイ(ドミニク・クーパー)の結婚式、シングルマザーながらエーゲ海の小島でホテルを営むドナ(メリル・ストリープ)は準備に大忙し、そんなところに彼女にとっては嬉し恥ずかしの招かれざる客、20年前のドナのひと夏の恋の相手3人が同時にやってきたから、さぁ大変、実はソフィが仕掛けたまだ見ぬ父親探しのサプライズ、父親候補はドナの元恋人で建築家サム(ピアース・ブロスナン)と銀行家ハリー(コリン・ファース)そして詩人ビル(ステラン・スカルスガルド)、あの夏の日の出来事、一体彼女に命中させた真犯人は誰なのか・・・
ストーリーは平易で少々軽薄な印象を受けるけど、ABBAの多彩な楽曲たちが、時にアップテンポで楽しく、時にバラードでしんみりと素晴らしく、美しいギリシャの空と海に、光輝く自然にマッチする曲には"マンマ・ミーア!"と叫びたくなるほど、アマンダ・セイフライドの水着姿もこれまた可愛い、決して豪華じゃなくとも、はじけるような楽しさがいいよね、ラストはえっ~て驚く展開が待っている、それでもみんながハッピー、幸せな気分の余韻に浸れます。なぜだかソフィの"I Have a Dream"に「アクロス・ザ・ユニバース」の"Girl"を思い出した。
映画「007/慰めの報酬」
原題:Quantum of Solace
ダブルオーセブンを劇場鑑賞したのは生涯2度目だけど、随分様変わりしたよね、前作カジノ・ロワイヤルの続編、慰めの報酬とは裏切り者を処刑すること!?
最愛の女性ヴェスパーをうしない悲しみにくれて復讐心を秘めるジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)だけど、早速敵の手掛かりを追い詰め背後に潜む巨悪の存在を知る。それはNPO「グリーン・プラネット」環境保全の羊の皮を着て、実は利権を貪り世界征服を企む狼法人、そのボスのドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)に接近したボンドは、家族を殺され復讐のためだけに生きてきたという謎の女性カミーユ(オルガ・キュリレンコ)とともに砂漠のホテルを急襲する。
一番の見所は砂漠を空から偵察するところ、敵戦闘機の銃撃を受けて失速する飛行機から決死のダイブがドキドキものです。それと最初こそアストンマーティンにアルファロメオという高級車が登場するけど、後はオンボロ飛行機にポンコツ車のオンパレードという落差がチョット笑える。セクシーシーンは随分控えめで、まぁ傷心の主人公だからしょうがないかな、ボンドガールとの発展はなく、変わりに女性諜報員(ジェマ・アータートン)とのベッドシーンがちょっぴりあるだけ、それにしてもその彼女といい、元同僚マティス(ジャンカルロ・ジャンニーニ)といい、次々と随分簡単に死なせちゃうのは残念なところ、ともあれ、巨悪組織を殲滅して一応の決着をみた今回の事件、次はどんな展開をみせてくれるか楽しみです。 007/慰めの報酬
映画「エンジェル」
原題:Angel:The Real Life of Angel Deverell
あからさまなブルーバックでチープさが際立とうとも、豪華絢爛に夢を実現させていくストーリーとメリハリのある衣装チェンジで十分カバーして余りある~
舞台は今から100年前、20世紀初頭の英国でのこと、16歳にしていまだ夢見る少女のエンジェル・デヴェレル(ロモーラ・ガライ)は類まれなる想像力を駆使してロマンス小説「レディ・イレニア」を書き上げ、発行人のセオ・ギルブライト(サム・ニール)に認められたことから、一躍売れっ子の女流作家となり子供の頃の夢に向けて歩みだす。憧れていた豪邸"パラダイス"を買い取り、召使を抱える貴族の暮らしが実現、パーティで出会ったエンジェル小説の崇拝者ノラ・ハウ=ネヴィンソン(ルーシー・ラッセル)を個人秘書とし、その弟の画家のエスメ(マイケル・ファスベンダー)に恋したエンジェルは奔放な性格のままに彼に求婚、遂に女の全ての幸せを手に入れるかに見える彼女だった・・・
そんな不躾でゴーイングマイウェイな彼女にも戦争の暗い影が忍び寄る、エスメが志願兵となり片足を失って戻るけど、現実を直視しないままに現実逃避の夢の世界に生きてきた彼女にとって、すべては砂上の楼閣に過ぎなかった。裏切られ続けていたことを彼の死後に知るなんて・・・失意の中で死の間際に真実を悟り、華々しくも信じることで過去さえ変えてきた短い人生を終える。エンジェルのキャラクターに共感はないけど、エンジェルが裸のままでベッドから抜け出し執筆にいそしむ姿など、とてもいじらしくて拍手を送りたい気持ちになる。
(wowow) エンジェル
映画「感染列島」
物語の主題は新型インフルエンザの感染爆発と思わされるけど、実はエボラ出血熱に似た新型ウイルスの脅威に立ち向かう人々の過酷な生と死がテーマ~
オープニングのフィリピンはパナウエ、世界遺産の棚田が広がるその美しい景色のなかでウイルス空気感染をイメージさせるとても恐い映像で始まる。こんなシーンをみると電車内で咳やクシャミをする人がとても脅威に思えてしまう。
松岡剛(妻夫木聡)は総合病院の医師、そこに運び込まれた患者に新型インフルエンザを疑うもワクチンは効かず、エボラ出血熱の症状もでて患者は死亡、医師の安藤一馬(佐藤浩市)も多量の吐血で死に至る。感染病棟にパニックが広がるなかでやってくるのがWHOのメディカルオフィサー小林栄子(檀れい)、松岡と栄子は実は元恋人同士、物語は2人を軸に、幼い娘を抱える三田夫婦(国仲涼子、田中裕二)の悲しい死別、鳥インフルエンザが元で父親(光石研)が自殺に追い込まれた神倉茜(夏緒)、感染からの生還者真鍋麻美(池脇千鶴)、無名(?)のウイルス研究者鈴木浩介(カンニング竹山)などをからめて新型ウイルスに対する人々の戦いが描かれる。
修羅場と化す病棟、トリアージでの死者、学校でのイジメ問題、誤解が招く自殺、フィリピンはネグロスでのエビ養殖による自然破壊など、盛りだくさんの社会問題も組み込まれた映画なのだけど、なにか今ひとつ期待したほどには胸に迫るものがない気もするのだけど、次々に凄惨な死に方をする人々と残された人たちの思いには熱くなるものがある。ホントの話日本列島にも"神の怒り"がいつか爆発するかもしれない、とも思える恐怖映画です。